変わらない、変われないもの
<安藤亘の1分間カウンセリング 6年2月>
Q.現在、障害者支援施設(通所・入所)で通所部門の中間管理職として勤務しています。何かとストレスの多い仕事なので、昔から意識してストレス関連の本を読んだり試してみたりしてきました。しかし、本を読んでも研修に参加してもなかなか実践が伴いません。その時は“なるほど!”と思うのですが、現場に戻ると日常に流され、日々の忙しさに紛れてすぐ風化してしまいます。ストレスやメンタルヘルスの専門家は、ご自分でどのように心の健康を管理されていらっしゃいますか。
(H治:43歳)
A.H治さん、ご相談ありがとうございます。「専門家自身のメンタルヘルスはどのように管理しているのか」というご質問ですね。なるほど…。確かに“メンタルヘルスの専門家であれば当然完璧なまでに効果・効率的な方法で自分自身健康を管理しているだろう”と思われるかもしれませんね。
メンタルヘルスを専門としていても普通の人ですから、精神が揺らぐストレスも当然あります。私自身特別なことはしていません。シンプルかつ基本的なことを継続しています。
ただそのストレスが「“予測できる”ストレス(変化)」なのか「“予測できない”ストレス」なのかによって対処が異なりますので、それぞれによって意識することを変えています。
予期できるものであれば、そのストレスが到来する大分前から準備すれば良いでしょう。
予期できない(想定外のことが日常に突如現れる)ものであれば、そのストレスに遭遇した(気づいた)時に、すぐ対処していくことになります。その衝撃も、時間軸も“後追い”になりますので、回復までかなり時間がかかることを想定し、時間をかけてグリーフワーク(癒しの作業)をしていきます。焦らず地道に行うことがポイントです。
以下、私自身が心がけていることをいくつか具体的に紹介いたします。
まず心の健康のベースとなる一番大事なことが「睡眠」。睡眠さえきちんととれていれば、大抵のことは何とかなります。大前提で、日々の健康のベースとなります。ここが揺らいでしまうとその上に何も積みあがってきません。睡眠の質を上げるためにも、日々少し意識して身体を動かす習慣を。
そして、心の声(サイン)を見逃さないようにすること。本や映画で共鳴するものを探し、今の自分自身の心模様を客観的にとらえるようにしています。人間にとって不快な感情(“怒り”や“不安”)は、自分の中に留めて置かず、外在化(見える化/可視化)していきます。
それが難しい方は、話を聴くプロ(カウンセラー等)に話をするのも良いでしょう。不快な感情から抑うつ状態へ移行することなく、その状態から早く抜け出すきっかけになります。
H治さん、物事の真理(本質)はいたってシンプル。難しく考えず、原始人がしてきたことをする。人間の本質から離れないようにする。
人間は森の中、木の上で暮らしていた頃から体の構造はほとんど変わっていません。DNAはそんなに急激に変わることはできないのです。どんなに文明が進歩し、時代が変わっても(ヒトの宿命として)変わらない、変われないものがあります。
H治さんが、今後さらに歳を重ね、現場で悩み、悶えながら得られた英知を日々の生活にいかされること、心から応援しております。