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VOL.230
2024. 4月26日

WAIWAIBOX

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ボトムアップの環境作りを

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 6年4月>

Q.保育園の主任をしています。保育園は組織が鍋蓋式といって、園長→主任→その他大勢(職員及び非常勤)という構造で、主任はまさに中間管理職。日々職員から「○○を何とかしろ!」「リーダーとしてそんなこと許していいのか!」「きちんと注意しろ!」等他の職員への不平不満を直接本人には言わず、主任の私にぶつけてくる職員も多くいます。距離感の近い閉塞した人間関係のためか職員同士水面下で相手の愚痴(陰口・悪口)を言うことも。物言いもきつく、疲弊する日々です…。
(J治40歳)

A.なるほど。ご相談内容、そしてJ治さんの日々の悩みどころ、伝わってまいりました。

 “不平不満を言えば、誰かが何とかしてくれる”という人は、生き方が「受け身」。何故なら、組織の主体的一員になれていないから。

 たとえば“社会が悪い”という人がいます。その人はきちんと選挙に行っているでしょうか。選挙に行かず投票もせず文句だけいう。その人も社会の一員なのに…。

 基本的に選挙に行かない人や“私が一票入れてもその人が当選するわけではないし、何も変わらないから”と諦めている人は今の社会に不平不満を言ってはいけません。そもそも人任せにしているわけで、参加すらしていないわけですから。

 何が言いたいかというと、職員を受け身にさせない。そうした文化を組織の中に創っていくことが何より大切です。

 自分自身の職場環境や職員同士のいがみあい、人間関係について上司に告げ口して改善するほど社会は甘くはない。お互い大人ですから、いがみ合っている者同士、お互いにそれなりの言い分があるもの。

 「保育」という仕事は、ただ単に保護者が働いている間、代わりに預かり面倒をみるということだけでなく、子どもたちの未来に対してより良い関わりを日々模索していらっしゃると思います。

 職員の皆さんは自分が働く職場に思いがあり、真剣に「より働きやすい職場にしたい」「より良い施設にしたい」と日々悩みながら仕事と向き合っていることと思います。

 あとは本気度ですね。愚痴レベルで終わらせてしまうのか、職員皆で知恵を絞ってそれぞれがどうしたら良いか“今私にできることは何か”職責について真剣に考える時間をもつ。

 それには、主任は園長と一枚岩となって職員一人ひとりと向き合い、受け止め、職員が前向きに仕事に集中できるように、職員同士が忌憚のない発言、意見がでやすい場をコーディネートしていく。

 職員との個別面談だけで終わらせず、吸い上げた意見(職員のニーズ“もっとこうしたい”)を束ね、整理し見える化する。

 より良い仕事を展開していくために職員一人ひとりの意欲を高め、その阻害要因を具体的に軽減し、「業務改善」へとつなげていく。

 そのために一人ひとり何ができ、どんな工夫が凝らせるのか。

 ボトムアップが、職場全体の活気や生産性、サービスの質の向上へと直接結びついていきます。

 言い方を変えると、互いの違いを認め尊重し、補完し合って連携をはかることのできる文化を醸成してくことが肝要です。

 どうしても職場(組織)が、上司が、部下が、と誰かのせいにしたくなるのは誰しも良くあること。しかし、これからはどんな園にしていきたいか皆で考え続けることができるかどうかにかかっています。

 まずは一つひとつ。J治さん自身が、心のゆとりをもち、職員一人ひとりの声に耳を傾け丁寧に向き合っていく。応援しています。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.230
発行日:2024年4月26日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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