一人で考え込まず一緒に考えよう
Q.障害者支援施設で働いています。職場に気になる後輩がいます。彼は福祉系の専門学校を卒業して今年4月、当法人としては久しぶりに採用した新人として期待を背負って就職しました。しかし職場の雰囲気に馴染めず、自信のない様子で辛そうです。休日に遊びに誘ってはいますが「用事がある」といつも断られてしまうので最近は誘いづらくなっています。何とか早く職場に馴染んでモチベーションを高め、即戦力として仕事をしてもらいたいのですが…(I男:33歳)
A.夏は気持ちも外側に向かって明るく前向きな気持ちになりやすい季節。開放感のあるアウトドアで人との交流を持つのにもってこいですね。とはいえ、人との交流を持ちたくても上手く持てない人もいます。
I男さんは後輩のことを気にかけていますが、周囲がいかに期待して働きかけても本人自身のモチベーションが上がってこないと主体的な行動には結びつきません。
福祉の現場では1年の差がとても大きいので、先輩の仕事ぶりと自分自身とを比較しても、自己嫌悪と焦りにつながるばかり。福祉専門職としてすぐに一人前になることそのものを短期ゴールにしてしまうと「職場でいちばん駄目だ」「必要とされていない」と、自分に対して常にマイナス評価となり、自信も下がり、その過程は苦しいものとなります。
イソップ童話の「北風と太陽」ではありませんが期待するあまり「もっと頑張ろう」といった励ましはせず、暖かく見守ることが大事です。
具体的には「今後のことは、一人で考え込まず一緒に考えよう」「福祉の仕事は結果でなく、その過程そのものが大切なんだよ」と伝えましょう。
一緒に現実可能な小目標を段階的に設定し、そしてその小目標をクリアしたら一緒に喜びを分かち合う。そんなステップを越えていく過程が本人の心を解きほぐし、徐々に過去の自分を越えて自己成長のルートへと誘うことでしょう。
焦らず一歩一歩成長し続ければ、きっと先輩のようになれる、という希望を持つことができるような先輩でいてあげて下さい。