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VOL.88
2015. 4月8日

WAIWAIBOX

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あっさりさっぱり、でもきっちりと

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング>

Q.知的障害者の入所施設に努めているF子(40歳)です。同じ施設の同僚(Aさん:46歳)は、このところ多忙でミスが重なり、仕事にいろいろと支障をきたしています。Aさんのことがとても心配です。どのように対処したらよいでしょうか。(F子)




A.身近な人の様子が“何かおかしい”とは思っても、その方との関係性や職場での立場等によってどのように対応したらよいか悩むところです。F子さんはAさんに対して職場の同僚という立場ですが、今回は様々な立場で対応の仕方を考えてみます。



【Aさんご本人自身が自分の不調に気づいた場合】
Aさんが自分の不調に気づいた(自覚がある)場合、最近の体調不良や仕事上のミスがあったこと等について、まずは身近な人に相談することが何より大切です。心の健康の特徴ですが、自分では自身の状況を客観的に捉えることが難しいのです。信頼でき、安心な身近な人に話すという行為は今の自分の状況を客観的な目で捉えることにつながります。



【F子さん(職場の同僚として)の立場の場合】
関係が良ければ、さりげなく話を聴く時間や場所を設定します。心の不調で一番つらいのは「孤立」。そしてその孤立感が状況をいっそう悪くしていきます。まずはさりげない声掛けを。時間が経てばたつほど話しかけるタイミングを逸して不自然になりやすいので、気づいた時に“あっさりさっぱり、でもきっちりと”が基本です。休前日の仕事が終わった後などに話を聴く時間や場所(喫茶店などリラックスしてゆっくり落ち着けるところ)を設定します。プライベートに話を聴ける関係でなければ、すぐに上司に相談。Aさんが最近日中ぼ〜っとしている、ミスが重なり仕事に支障をきたしている等、最近の様子を客観的な事実として上司に報告します。



【Aさんの上司の立場の場合】
日中の様子の変化に気づいたり、報告があがってきたりした時点で、なるべく時間を置かず“あっさりさっぱり、でもきっちりと”Aさんから直接話を聴く機会を設けましょう。プライバシーに配慮したうえで場所や時間を設定し、リラックスした雰囲気でAさんの話に耳を傾け、現状を把握。業務負荷を調整するなどして様子をみるか、眠れない、食欲がないといった状況が長期化している場合には受診をすすめる必要があることも。普段から身近で気軽に相談できる専門家を探しておきましょう。



職場でうつ病等のメンタルヘルス不全者が発生した場合、その予備軍はその何倍も潜在しているといわれます。職員が心のバランスを崩す一番の原因は「孤立」、心の健康を維持するために最も大切なものが「コミュニケーション」です。日々生きいきと仕事をしていくためには、F子さんのように他の職員に関心をもち、ちょっとおせっかいな関わりが職場ではとても大切です。職場でのコミュニケーション、見直してみませんか。




ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.88
発行日:2015年4月8日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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