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VOL.85
2015. 3月11日

WAIWAIBOX

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さりげなく。ちょっとおせっかい。

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング その5>


.訪問介護事業所に勤めているE子(44歳)です。職場に昨年秋口にメンタル面の調子を崩し半年間病休の後、この2月から職場復帰する同僚がいます。戻ってくるその職員に対してどのように声掛けしたらよいか不安です。同僚としてどのように接したら良いでしょうか。(E子)


A.ポイントは二つ。ご存知の通り「腫れ物に触れるような対応は避け自然に接する」こと、そして「叱咤激励しない」ことです。しかしそれを現場で実践するのは難しく、工夫とコツが必要です。

 
人は大抵“自然に接しよう”と意識すると言葉を選んでしまって、かえってタイミングよくさりげない声掛けしにくいもの。“自然に接しよう”と気を遣い過ぎるのもまたそれ自体が不自然で本人にとってはストレスに。そしてその自然な行動の妨げとなっているのが、その背景にある不安な気持ちです。「不安」をそのままにしておくとやがて漠然と広がり、扱いが難しくなっていきます。そのため早い段階で「不安」に名前を付ける作業、つまりご本人が復職してくる前に職員同士が膝を突き合わせて「復職に際して周囲のものとして具体的にどんなことが“不安”か」を言語化(見える化)し、言葉で括る作業が必要です。周囲の職員は「間違った声掛けをしたら、そのことでまた具合が悪くなってしまうのでは…」等、大抵同じことで不安になっています。言葉で括られ不安に名前がつくと雑味が省かれ、結果、誰が本人のサポート役となって主に声掛けするか等具体的対策が明確となり、漠然とした不安が収束していきます。

 

 また私たちは小さい頃から「元気のない人を見かけたら励ましましょう」と教わっています。“過度な励ましはいけない”と頭ではわかっていてもつい励ましたくなってしまうもの。メンタルヘルス不全になり自信が低下している状態の時には、元気な時の何倍も他人の視線が気になるので励ましは「もっと頑張れ!」「早く元気になって!」と押し付けがましい上から目線のメッセージとして伝わりやすいのです。そのため「これ以上どう頑張れば…」「早く元気になれと言われても…」と、かえってその人を追い込むことに。復帰してしばらくの時期は、仕事の効率や質は元気だった時の50%程度。でも本人は120%で頑張っています。「頑張って」ではなく「頑張ってるね」。本人なりの今の頑張りを認めて見守ることが大切です。

そして目の前の人に関心をもち、いつもと違う様子に気づいたら「間」をおかずに声掛けを。ちょっとおせっかいな関わりが職場のメンタルヘルス不全の予防につながります。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.85
発行日:2015年3月11日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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