自分らしい歩幅で!

<安藤亘の1分間カウンセリング 8年7月>
Q.デイサービスで生活相談員としてもうすぐ15年目を迎えます。ふと気づけば39歳、来年は40歳です。最近、後輩たちが次々と資格を取得したり、リーダー職に昇格したりしていく一方で、私は目の前の業務に追われるだけの毎日。家では中学生の子どもの反抗期も始まり、厳しい暑さも重なって心身の疲れが抜けません。この先、何を目標に働いていけばいいのか、わからなくなってしまいました。
(K子:39歳)
A. K子さん、15年間現場の第一線で利用者さんと向き合い続けてこられたのですね。同じ福祉に携わるものとして、その重みと積み重ねに、心から敬意を表します。
「後輩は昇格していくのに自分は…」そんな焦りを感じるのは、K子さんが仕事に対して真剣だからこそ生まれる感情と思います。どうでも良いことには、何の感情も生まれませんから。
心理学者アルフレッド・アドラーは、人が抱く劣等感そのものは自然な感情であり、それをどう使うかが人生を左右すると考えました。他人と比べて落ち込むための劣等感ではなく、次の一歩へと自分の背中を押してくれる、生かすための劣等感です。つまり、大切なのは人と比べることではなく、自分が積み重ねてきた歩みを見つめ直すこと。
資格や役職は、キャリアの一つのものさしに過ぎません。K子さんが15年間、現場で積み重ねてきた「利用者さんの小さな変化に気づく力」「ご家族の不安に寄り添う力」は資格の有無では測れない、K子さんの財産です。
また、39歳という年齢は、これまでの人生を振り返り、これからの人生をデザインし直す、ちょうど折り返し地点。子どもの反抗期も、これまで頼ってくれていた子どもが、自分自身の人生を歩み始めたサイン。少し寂しくもあり、同時に喜ばしい変化でもあります。
厳しい暑さも重なり、心身が疲れやすいこの時期は、無理に答えを出そうとせず、まずは休むこと、そして小さな「できていること」に目を向けることが大切です。
・利用者さんやご家族から「ありがとう」と言われた場
面を思い出す
・後輩に頼られたり、相談されたりした出来事を書き出
してみる
・15年間で変わらず続けてきた、自分なりの仕事の流儀
を確認する
そしてK子さんは、これまで「人を支える側」でいることが多かったのではないでしょうか。利用者さん、ご家族、後輩、そしてご自身のお子さん…。いつの間にか「私が頑張らなければ」という思いが当たり前になっていたのかもしれません。
でも、人を支える仕事だからこそ、ときには自分も誰かを頼ってよいと思うのです。信頼できる同僚に話を聞いてもらう。上司に今の気持ちを伝えてみる。家族に「今日は少し疲れたな」と素直に漏らす。そんな小さな「頼る勇気」が、張りつめていた心に少しずつ余白を取り戻してくれるはずです。
資格や肩書きは、後からいくらでも積み上げることができます。けれど、目の前の人に丁寧に向き合ってきた15年間は、これからのK子さんの人生を支える確かな土台となっているはず。
身体の疲れと精神的な疲労が重なる今だからこそ、まずはご自身をいたわってください。頑張り続けてきた自分自身に「今日もよくやった」と声を掛ける。そして、ときには周りの人にも少しだけ甘えてみる。
支える人が笑顔でいることは、利用者さんやご家族、そして職場の仲間にとっても大きな安心につながります。
40代は誰かと競う年代ではなく、これまでの来し方を肯定的に振り返り、自分らしい歩幅で人生を味わいながら歩いていく年代なのかもしれません。
K子さんらしい40代が始まることを、心から応援しています。





