自分にしかできないこと…?

<安藤亘の1分間カウンセリング 8年4月>
Q.高齢者入所施設に入職して5年目。最近、若手職員の不平不満の多さに苦慮しています。「有給休暇が取得しづらい」「マニュアルがない」「上司が頼りにならない」等々。会議の席では意見を言わず、裏で特定の職員や利用者への悪口。聞いているだけでウンザリです。職員の不平不満をなくすには?
(H織:29歳)
A. ご相談ありがとうございます。“不平不満”は、「本当はこうしたい」「こうすればもっと良い支援ができるのに」という思いの裏返し。そう捉えることができれば、理想と現実とのギャップがみえてきます。そしてそのギャップこそが、職場の“課題”なのでしょう。
ところで、H織さんは“自分にしかできないこと”があると考えたことはありますか?
後輩が話してくれることが単なる愚痴レベルの話なのか、本音から出たものなのかを丁寧に見極める。そしてそれらを整理し、何ができるかを言葉にする手助けをする。上司に相談してみる。そうした関りも、H織さんにできる大切な役割の一つかもしれません。
そして、おそらくどの職場に“変えたいこと”はたくさんあります。働き方、職場環境、人間関係…。
ロシアの思想トルストイは「世界を変えようとする人は多いが、自分を変えようとする人は少ない」という言葉を残しています。
社会や組織の課題を前にすると、つい周囲を変えたくなるものです。しかしそんなときこそ大切なのは「今、自分にできることは何か」という自分への問いかけではないでしょうか。
スポーツクラブでは、入会した人が100人いても、半年後に通い続けている人は半分にも満たないと言われています。
始めることは、意外と簡単です。しかし続けることは難しい。組織を変えることも同じなのかもしれません。大きな理想を語ることよりも、自分の小さな行動を続けていくことのほうが、実は難しいのです。
例えば、忙しい時でも「ひと呼吸置ける心のゆとり」を持つこと。今日誰かにひとこと声をかける。同僚の仕事に少し手を貸す。目の前の利用者や職員と丁寧に向き合う。
そして会議の席では、勇気を出してひと言発言してみる。新入職員であれば「入職したばかりで見当違いかもしれませんが…」そんな前置きでも構いません。「私はこう思います」と、自分の考えを言葉にしてみることです。
そうした小さな行動が、単なる“不平不満”を前向きな“改善案”へと変えていきます。
後輩たちは歳の近い先輩の姿を思っている以上によく観ています。H織さん、まずはご自身がそうした小さな行動を重ね、背中で示していくことが大切なのかもしれません。
一つひとつは小さなことかもしれません。けれど、その積み重ねが社会(組織)を少しずつ変えていきます。ちょうど湖に小石を落としたときの波紋のように、その影響は静かに広がっていくことでしょう。
4月は、新しい年度が始まる季節。理想を一度に実現する月ではなく、新しい種をまく季節です。
社会や組織を変えようとする前に、まず「今、自分にできること」をひとつ。その小さな一歩が、きっと周りの誰かの力になっていくはずです。
応援しています。





