静かな準備期間

<安藤亘の1分間カウンセリング 8年3月>
Q.保育園で昨年4月から主任(副園長兼)を務めています。事務室にいることが多く、職員のシフトや事務的な仕事が主になっています。子どもと接する仕事が極端に少なくなり…プライベートでは、息子がいますが自分で奨学金を取ってこの4月から大学に進学し東京でひとり暮らしをはじめることになりました。胸にぽっかり穴が開いたような。幸せって何でしょうか?
(G香・50歳)
A. ご相談ありがとうございます。“幸せ”って、何でしょうね。
社会人として駆け出しの頃は、仕事中心の生活。子育て、職場復帰、中堅職員、後輩の育成…。仕事でもプライベートでも役割がどんどん増え、自分がいちばん後回し。大忙しの日々だったのではないでしょうか。
役割が多く、とにかく忙しい時は「幸せ」よりも“とにかく少し休みたい”“純粋に自分のためだけに使える時間が欲しい”と、そう思っていたかもしれません。
子育てがひと段落し、職場では管理的立場に。ふと空白の時間が生まれると、人は自分の人生について考え始めます。
内閣府の調査(平成20年版国民生活白書)では、日本人の幸福感は年齢を重ねても大きく上がらない、いわゆる「L字型」の傾向があるといわれています。
一方、欧米では一度下がっても、人生の後半に再び上昇する「U字型」の傾向が見られるそうです。
人生の後半、仕事以外のつながりや役割が増えることが、幸福感に影響しているのかもしれません。
人生をトータルで見つめると、人は誰かの生命や生活、人生の質を高めることで、自分自身も満たされていく存在なのだと思います。
幸せとは、「誰かの役に立っている実感」なのかもしれませんし、「自分の時間を味わうこと」かもしれません。
仕事は、そのための大切な手段。でも人生そのものではありません。
これまで誰かのために一生懸命生きてきたからこそ、今、静かな時間が訪れているのだと思います。
もしかすると今は、次の実りのための“静かな準備期間”。
これからの豊かな時間に向けて、これまで時間とお金のゆとりがなくてできなかったこと、諦めていたこと、理由をつけてしてこなかったこと、仕事以外でやってみたいことなどを紙に書き出してみませんか。
人生は役割が終わるたびに、少しずつ自由になっていくのかもしれません。
3月は別れと旅立ち、そして4月からは新たな出会いの季節です。G香さんのこれからが、さらに実り多いものになりますように。





