転機のサインは…?

<安藤亘の1分間カウンセリング 8年2月>
Q.比較的大きな法人のグループホームでリーダーを務めています。大きなトラブルはないのですが、最近なぜか気持ちがすっきりしません。入職当初から頼りにしていた先輩たちが一斉に退職し、気づけば自分が一番上に。“もっとこうすれば”“違う選択があったのでは”と振り返ったり、先のことを考えて不安になったり…。この「もやもや」と、どう向き合えばよいでしょうか。
(F雄・49歳)
A. ご相談ありがとうございます。特に原因がわからない「もやもや」は不安になりますよね。でもその“もやもや”を見つめ、言葉にされたこと自体が、自分を大切にするための大きな一歩です。
大きな出来事がなくても、ふとした瞬間に心が少し揺れることがあります。入職してからしばらくの間、日々目の前の仕事と向き合いながら“ハラハラ”“ヒヤヒヤ”。
少し仕事に自信が持てるようになってきたかと思う頃、頼りにしていた先輩たちが去り、そして気づけば自分が現場を支える側に。「しっかりしなければ」という思いが、知らず知らずのうちに心を緊張させているのかもしれません。
その“もやもや”した心模様は、急激な役割の変化にF雄さんの心が静かに追いつこうとしているサインなのかもしれません。それは、自らをさらに深く耕す“転機の時期”なのだと思います。
通勤途中、乗り換えで別のホームに向かう階段をのぼりきったところで、ふと立ち止まるような感覚。「俺の人生、これまでがむしゃらに、ただ前だけ(先)を見てのぼり続けてきたけれど、これからはどんなふうに生きていけばいいのか…」。
49歳という年齢は、年代的にも「来し方行く末」、つまり「人生の踊り場」で、ひと息ついて後ろ(来し方)を振り返り、これからの人生(行く末)を思う時期。
中国の古典『菜根譚(さいこんたん)』には、「菜根は堅くて筋が多い。これをかみしめてこそ、ものの本質、真の味わいがわかる」という意味が込められています。
その中に「人を責むるに厳なるは易く、人を恕(じょ)するは難し」という言葉があります。
これは“人の欠点や失敗を厳しく責めることは簡単。でも、その人の立場や事情を思いやって、ゆるし、思いやることはとても難しい”という教えです。
これは他人だけでなく、自分自身に対しても同じで、自分にも少し“恕(思いやり・許し)”を。今は「立ち止まってうずくまり、悩むのではなく歩きながら考える時」なのかもしれませんね。
もやもやは停滞ではありません。人生を掘り起こし、これからを考えようとする、前向きに動こうとする心の働きなのだと思います。
解決(スッキリ)を急がず、少しだけ自分にも「恕(じょ)」を。そして“今ここ”に意識を向け、心の平安を感じてみる。
F雄さんのこれからの日々が、少しでも「今」ある幸せや豊かさを感じられる、穏やかな時間となりますように。





