一人ではなくチームで
<安藤亘の1分間カウンセリング 7年9月>
Q.ある社会福祉法人の障害者支援施設で働いて5年目。高齢者施設も運営している法人なので異動もあるのですが、入職してからずっと同じ施設で働いています。20代〜30代の職員が少なく、年齢が近いという理由で新人の世話役をずっと任されています。新人が長続きしないのも悩みで、「自分が異動したらどうなるのか」と考えると憂鬱です。正直、疲れてしまいました。
(A子・26歳)
A. 私が何とかしなければ、というA子さんの気持ちが伝わってまいりました。福祉の仕事は、4〜5年目になると“中堅”と呼ばれるようになりますよね。「支える役割」が増える一方で、「支えられる」ことは極端に少なくなり、特に自分自身の心のケアは後回しになりがちです。
たしかに中堅になると新人さんを支える役割が増えてきます。とはいえ、新人が定着しにくいのはA子さん一人の責任ではなく、施設全体の課題です。
キーワードは「チーム」。たとえば「新人担当は交代制にする」「今日は私、明日は別の先輩」とローテーションにすれば、負担も分散されますし、新人にとってもいろいろな先輩から学べるチャンスに。
また、人によって教え方・伝え方がバラバラですと新人が混乱してしまうので、チェックリストや手順書などを整えて“共通ルール”をつくればとても効果的で、今後につながる組織の財産になります。新人も安心して仕事を確認しながら覚えられますし、教える側もラクになります。
業務手順を可視化(見える化)しておくと、職場ノウハウの積み上げとなり、今後の新人育成がさらに効果・効率的にしてくれます。
そして何より大切なのは、小さな成功を一緒に喜ぶこと。「今日はここまでできたね」「ありがとう」と一言伝えるだけで、新人のやる気は大きく変わりますし、A子さん自身も「先輩として役に立つことができてよかった」と前向きな気持ちになれます。
もちろん、A子さん自身にひと呼吸置ける“心のゆとり”がなければ、こうした工夫を実行してみようと他者(同僚や上司)に働きかける元気が出にくくなってしまいます。
だからこそ、まずは「一人で抱え込まなくてもいい」と思うことから始めましょう。
支える人も、支えられていい。そのことを忘れずに。A子さんらしい歩みを続けてくださいね。
応援しています。