本文へスキップ

VOL.247
2025. 9月26日

WAIWAIBOX

Sowelクラブ公式サイトをみる

一人ではなくチームで

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 7年9月>

Q.ある社会福祉法人の障害者支援施設で働いて5年目。高齢者施設も運営している法人なので異動もあるのですが、入職してからずっと同じ施設で働いています。20代〜30代の職員が少なく、年齢が近いという理由で新人の世話役をずっと任されています。新人が長続きしないのも悩みで、「自分が異動したらどうなるのか」と考えると憂鬱です。正直、疲れてしまいました。
(A子・26歳) 

A. 私が何とかしなければ、というA子さんの気持ちが伝わってまいりました。福祉の仕事は、4〜5年目になると“中堅”と呼ばれるようになりますよね。「支える役割」が増える一方で、「支えられる」ことは極端に少なくなり、特に自分自身の心のケアは後回しになりがちです。

 たしかに中堅になると新人さんを支える役割が増えてきます。とはいえ、新人が定着しにくいのはA子さん一人の責任ではなく、施設全体の課題です。

 キーワードは「チーム」。たとえば「新人担当は交代制にする」「今日は私、明日は別の先輩」とローテーションにすれば、負担も分散されますし、新人にとってもいろいろな先輩から学べるチャンスに。

 また、人によって教え方・伝え方がバラバラですと新人が混乱してしまうので、チェックリストや手順書などを整えて“共通ルール”をつくればとても効果的で、今後につながる組織の財産になります。新人も安心して仕事を確認しながら覚えられますし、教える側もラクになります。

 業務手順を可視化(見える化)しておくと、職場ノウハウの積み上げとなり、今後の新人育成がさらに効果・効率的にしてくれます。

 そして何より大切なのは、小さな成功を一緒に喜ぶこと。「今日はここまでできたね」「ありがとう」と一言伝えるだけで、新人のやる気は大きく変わりますし、A子さん自身も「先輩として役に立つことができてよかった」と前向きな気持ちになれます。

 もちろん、A子さん自身にひと呼吸置ける“心のゆとり”がなければ、こうした工夫を実行してみようと他者(同僚や上司)に働きかける元気が出にくくなってしまいます。

 だからこそ、まずは「一人で抱え込まなくてもいい」と思うことから始めましょう。

 支える人も、支えられていい。そのことを忘れずに。A子さんらしい歩みを続けてくださいね。

 応援しています。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.247
発行日:2025年9月26日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
   (一財)秋田県民間社会事業福利協会
〒010-0922 秋田市旭北栄町1-5 TEL:018(864)2703