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VOL.243
2025. 5月30日

WAIWAIBOX

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立場が逆転すると…?

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 7年5月>

Q.地元の保育園に勤め始めて2年目。最近の私の悩みは、職場の人間関係です。休憩時間や事務室等で、若手保育士の噂話や悪口ばっかり言っている先輩保育士が数名いて、うんざりしています。どうせ私も居ない所で言われていると思います。若手が受身だとか、会議の席で意見を言わないとか。私に言わせれば、意見を言っても結局無視されたり、「無理」「普通こうでしょ」とダメ出しされたりするので、会議の雰囲気も悪く、そもそも意見を言いたくありません。
(W子:23歳) 

A. 保育園ではあるあるのご相談。とはいえ、W子さんからすれば日々のことですから深刻ですよね。

 うっかり噂話をしている空間に居合わせ、何気なく頷こうものなら「彼女もそう言っていた」と言いふらされるかもしれないので、迂闊に相づちも打てません。

 職場でのコミュニケーションパターンは、長年の組織の歴史のなかで徐々につくられてきた文化のようなもの。すぐに変えるのは難しいでしょう。

 ここは賢く立ち回りましょう。例えば先輩と自分も含めた若手の立場を逆転して考えてみる。“もし自分が先輩の立場だったら”と。

 すると、最近の若手は「言いたいことをはっきり言わない」「打たれ弱い」「私が若い頃は、もっと厳しい環境のなかで育てられたもの」「同じ苦労をしてよい」等々、先輩としての言い分がイメージできるのではないでしょうか。

 とかく人間は、自分に都合の良いロジックを組み立てる生き物。人間関係に摩擦や軋轢がある場合、大抵どちらか一方が悪いということはなく、相手の立場と自分の立場を入れ替えて考えてみると“相手の言うことも一理ある”と思えるのではないでしょうか。

 W子さん、ストレスをなくすことはできません。何もない日の方が不自然で、仕事でもプライベートでも日々必ず“何か”起こります。人と人ですから。ましてや人との距離感が近く、接点が多い保育(福祉)現場であればなおのこと。

 ではどうしたら良いか。ストレスを減らすことはできない。ならば、周囲の良くないお手本に大事な時間や労力を割くよりも「敬して遠ざける(敬遠『論語』より)」。表面は敬っているような態度をして、内心距離をとり、近づくのを避けることを言います。

 また、できることとしては「受け止め方を変える」しかありません。他人を批判することでしか自分の立場を優位に捉えることができない先輩は反面教師。私はそうはならないぞ、と次に入職してくる後輩に思いっきり親切に楽しく仕事できるようにしてあげると良いのではないでしょうか。

 相手の出方で臨戦態勢に入ってしまうのは、そもそも疎ましく思うその相手と同じレベルということ。雑音と思って自分はそうはなるまい、とあえてポジティブ(前向き)な意見や話題を出すように心がけましょう。

 W子さん“同じ穴の狢(むじな)”か“憧れられる先輩保育士”か。選択は自由です。あとは、自分との闘い。どんな自分になりたいか。「人の短所にばかり目が行き、陰口を言う人」か、「前向きで人の悪口を決して言わず、人の良いところを探したり指摘したりするのが得意な人」か。

 自分に嘘はつかない。最後は素直で正しい自分にすがることができますから。W子さんがありのままの自分を好きになれますように。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.243
発行日:2025年5月30日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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