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VOL.242
2025. 4月25日

WAIWAIBOX

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ネガからポジへ

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 7年4月>

Q.大学を卒業後、福祉と全く異なる業界で営業の仕事を2年。その後アルバイト等転々として現在、高齢者総合相談センターや入所施設、その他障害者領域も手掛ける社会福祉法人に転職しました。仕事はやりがいがあり好きな仕事なのですが、現場は課題が山積。例えば“慢性的な人手不足”“待遇(賃金)面”“ご利用者やそのご家族のクレーム対応”“会議や事務作業の多さや効率化の遅れ”“感情労働による心の健康の維持の難しさ”等々悩みどころ満載で、私自身、今後に不安を感じてしまいます。 
 (V雄:30歳)

A. …そうですよね。V雄さんは少なくともあと30年は働くわけでしょうから、自分の将来に不安を感じるのは当然のことでしょう。

 確かにV雄さんが指摘された課題は、現場では古くて新しい課題。そしてそれら課題はただぼんやりと感じているだけでは、何から手を付けたらよいかわからないジレンマに常に悩まされます。しかし、V雄さんのように課題を整理して見える化できていれば、まずは1つひとつ取り組む。

 個人の課題は勿論のこと、組織全体で何とかしていかなくてはいけない課題も多くあるでしょう。しかしどちらの課題であっても、大切なのは“決してひとりで抱え込まない”こと。

 職場で部局をまたいで「職場環境見直し委員会(仮名)」のような前向きな課題を検討するチームをつくって、皆で検討してみましょう。

 すぐに成果に結びつかないかもしれません。しかし、どんなに大きな課題(壁)であっても、1つひとつクリアしていくことで、必ず前進するはず。

 輝かしい目標を立てるのではなく、まずは“今感じ考えること”“今の私の悩みの種”“こうあったら良いなという職場の近未来のイメージ”等を職員の皆で共有します。次に“何から手を付けたら良いか”ブレイクダウン(ショートステップに分解)して、1つひとつ楽しみながら取り組んでいく。その際、加点主義でいきましょう。

 ひとつ実例(個人や組織が特定できないように加工してあります)を紹介します。ある保育園の主任さんから職場の人間関係が最悪である、と相談がありました。日々他の職員に対する不平・不満、噂話や陰口つまり“ネガティブワード”が横行しているそうです。そこで、職員全員に職場の不平不満や改善したいこと等、アンケートをしていただきました。

 結果“休みが取れない(取りづらい)”という不満が職員全員の共通課題であることが判明したため、その保育園ではすぐにクラスを越えた「働きやすい職場に向けての職場見直し委員会」をつくり、主任がリーダーシップを発揮して毎週水曜日の夕方に30分限定という枠で話し合いをはじめることに。

 結果はすぐにあらわれました。まずはアンケート結果から見えてきた共通課題(休暇の取得)から取り組もう、と。年度初めに立場の弱い職員(新入職員や中途で入ってきたばかりの職員)から、年度スケジュールに計画的に年休を入れてもらう取り組みです。

 今では職員皆が適度に息抜きしながら、職場でもネガティブワードが激減し「何か新しいことを始めよう」「どうしたら改善できるかな?」「ありがとう」等々、“ポジティブワード”が増えてきたということです。

 この例のように、すぐに上手くいかない場合もあるでしょう。V雄さん、働きやすい職場環境を整えるためには、覚悟をもって1歩1歩、時に3歩進んで2歩下がることも。

 しかし悔しさも、辛さもチームで対応できれば(仲間がいれば)半減し、何とかなります。自分にやさしく、そして日々楽しみながら“どうしたらより働きやすく(仕事が楽しく)なるか”を皆で考えていく。

 まずは現状と向き合う。コミュニケーションを水面下でなく、表面化して皆で考え取り組む。

 今後も、V雄さんがさらに良い仕事を展開していくことができること、陰ながら期待・応援しています。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.242
発行日:2025年4月25日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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