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VOL.214
2022. 12月30日

WAIWAIBOX

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セルフケアの習慣化

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 4年12月>

Q.障害者支援施設に勤務しています。具体的に何か悩み事があるということではないのですが…
最近は珍しいことではないかもしれませんが、我が家は妻も高齢者福祉の現場で介護の仕事をしている共働き家庭。私の方が少し早く帰宅できるので家事もしないといけません。しかし日々一杯いっぱいで仕事をこなして帰ってきて、いざ風呂を沸かして夕飯づくり、といっても“どよ〜ん”とした気持ちになってしまいます。仕事にも家事にもモチベーションを高めて臨むためにはどうしたら良いでしょうか。
(T治:37歳)

A. T治さん、ご相談ありがとうございます。「仕事も大変なのに、家事、育児にまで手が回らないよ〜」という悲鳴(SOS)は、福祉現場の方から特に多く寄せられます。

 まずはメンタルヘルス不全にならないための予防策として日々心掛けていただきたいことをいくつかお伝えしたいと思います。

 うつの兆候は、睡眠と食欲を含めた意識の低下として現れます。自分の心の声や身体からのサインを大切に。普段と違う様子に気づいたら、プライべートはゆっくりマイペースに。いつもよりゆっくりお風呂に入ったり、季節のものを食べたり、気がかりなことや心配事は、ひとりで抱えず、その「悩みの種」が小さいうちに誰かに相談してください。

 そして心身の健康状態を維持するために最も大切な習慣は、やはり「睡眠」。睡眠さえきちんととっていれば、大抵のことは何とかなります。睡眠の「質」が悪ければ「量」をとらないとなりません。

 そして質の高い睡眠をとるためには、日々の軽い運動をお勧めします。特にお勧めは「ウォーキング」。時間もお金もかかりません。15分くらい少し早歩きで歩きます。(若干汗ばむ程度。距離にすると約1.2〜3キロ)。それを1日2回歩いてください。通勤であれば習慣化しやすいですし、職場までの往復で1日2回確保できます。

 体内温度(深部体温)を日中上げておかないと、夜下がりにくいのです。バランスですので。夜、脳の血液が身体に降りて行き、手足から熱となって発散して、身体全体がクールダウンします。睡眠の質を高めるための方法です。

 次に自分自身のストレスになりやすい考え方の癖を把握し、行き過ぎないようにブレーキをかけるようにしましょう。メンタルヘルス不全になりやすい人の傾向は“真面目、几帳面、いい加減にできない、完璧主義、周りに過度に配慮し気を遣う”敏感なタイプがほとんどと思います。逆にストレスを感じにくい人は、ひと言でいうと雑なタイプ。

 網(あみ)に例えると、網の目が細かな人は繊細・敏感・周りの空気を読むタイプで、網の目が粗いザルの人は、刺激を右から左へ受け流し、空気の読めないタイプの方が多いと思います。皆さんは、選べるとしたら、どちらのタイプの人間になりたいでしょうか?

 メンタルヘルスに関するありとあらゆること(ストレス対処、対人関係、感情のコントロール等)は、すぐに全て解決できる「魔法の杖」や「特効薬」はありません。現場職員一人ひとりの日々の心がけによる精神的健康度が職場全体の雰囲気を形成し、予防につながります。

 まずは実践あるのみ。積極的にセルフケアに努め、習慣化してください。陰から自分自身の人生をコントロールしているのは、紛れもなく自分自身の「習慣」なのですから。

 T治さんが元気になって、不幸になる人は一人もいません。まずは自らの中に良い循環を生み出しましょう。それができれば、その影響の輪は必ずご家族や職場の中に徐々に拡がっていくことでしょう。

 T治さんの“これから”に、心より期待と応援をしております。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.214
発行日:2022年12月30日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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