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VOL.213
2022. 11月25日

WAIWAIBOX

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ポジティブワードに変換を

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 4年11月>

Q.保育園と障害者支援施設を経営する法人で、保育園の保育士として働いています。相談内容は(どの園でも“あるある”事案と思いますが)「パワハラ」について。パワハラを減らすためには(パワハラをする人の言い分もあると思うのですが)やはりそのパワハラをする人(加害者)を皆でこらしめないといけないと思うのですが、いかがでしょうか。
(S花:34歳)

A. S花さん、ご相談ありがとうございます。職場で一丸となって、ハラスメントに対応していくのは難しいことだとは思いますが、一方で同じ方向を向かなければ良い方向にも進みにくいと思います。

 話は変わりますが、中国の孟子「水の低きに就く如し(水は低きに流れる)」という言葉をご存じでしょうか。水の自然の性質を述べています。現代、ペットボトルや水筒のように水を持ち運べるようにしたのは、その構造があるから。蓋、壁面、底、そして中に入っている水、それらが水を固形のように常態化し、持ち運べるようにしています。「家」も屋根、壁面(窓)、床、そして扉があって初めて成り立ちます。ある物事が常態化している場合、そこには構造が存在しています。

 「いじめ」の標語は“しない・されない・ゆるさない”、つまり“「加害者」にならない、「被害者」にならない、「傍観者」にならない”ということ。逆に言えば、その三者の構造があってはじめて成り立ち、常態化します。

 今回の場合、加害者にアプローチを見つけるのもひとつですが、加害者のみの責任ではなく、被害者にNo「そんな言い方はやめてください」と言うことも必要です。そして傍観している人たち。傍観者がもっとも罪深い。傍観しているということは、いじめをゆるしている(加担している)ことと同じです。傍観者は罪意識が薄いのですが、いじめられている人のほとんどの方は「私は職場の人全員からいじめを受けている」という認識です。

 ピンチをチャンスとしてとらえ(時間がかかりますが)、勇気をもって粘り強く職場の中に“しない、されない、ゆるさない”文化を創っていくということ。私がスクールカウンセラーを数年やらせていただいていた山梨県の某中学校では、学校と上手く連携し、いじめはまったくなくなりました。(勿論「けんか」はありますが陰湿ないじめと異なり表面化した健全な姿です。)

 加害者だけつるし上げると、いじめが徐々に陰湿化し、表面化しにくく見えにくくなります。無視したり、じわじわと真綿で首をしめたりするように精神的苦痛を与えていく…

 いじめは人として最も醜いこと。大抵は自分の感情と上手く付き合うことができない人が行う未熟な行為です。言いたいことがあるのであれば、「何でできないの」「何度言えばわかるの」「だからあなたはダメなんだ」等、感情的・嫌味な言い方・相手が傷つく“ネガティブワード”を使わずに、相手が受け止められる「こうするともっと良くなるね」「こうしてもらえると私もとても助かる」「どうしたら上手くいくようになるか一緒に考えましょう」等“ポジティブワード”を使ってきちんと伝える。

 S花さん、園全体でネガティブワードを使わずにポジティブワードを使う働きかけをされてみてください。傍観者とならずピンチをチャンスに変えるきっかけづくりをしてみましょう。応援しております。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.213
発行日:2022年11月25日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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