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VOL.212
2022. 10月28日

WAIWAIBOX

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「福祉」の仕事とは?

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 4年10月>

Q.仕事の相談でなくても良いですか?私は入所型の高齢者福祉の現場職員で、夫も障害者支援施設に勤務しています。現在中1の息子と小4の娘との4人世帯で、物凄く忙しい毎日を過ごしています。
 先日下の子の学校の宿題で、お父さんお母さんの仕事について聞いてくるように言われ、子供には高齢者や障害者の生活支援と伝えたのですが、娘にとってはわかりづらく、うまく説明することができませんでした。「福祉」の仕事をどのようにとらえ、説明したらよかったでしょうか。
(R香:40歳)

A. R香さん、ご相談ありがとうございます。「福祉」の仕事は物を売る仕事ではないので、誰にでもわかりやすく説明するのは結構難しいかもしれませんね。

 ところで、R香さんは「福祉」をスマホで調べてみましたか?Wikipediaでは、次のように説明されています。かいつまんで言うと「しあわせ」と「ゆたかさ」。

 「豊かさ」は、戦後の日本であれば物質的なものが豊かさの象徴になっていたかと思います。しかし現代では、むしろ「こころの豊かさ」なのではないでしょうか。

 「幸せ」もその感じ方は人それぞれ。一見、お金と直結しているように感じるかもしれませんが「金持ち」より「時持ち」、つまり時々旅行に出かけて気分転換したり、読書をしたりという「時(ゆとり)」を持つことが幸せなのではないでしょうか。

 何か障害者手帳を取得していたり、高齢者で介護保険のサービスを受けていたりする特定の人のことを対象にするのが福祉と勘違いされていますが、「福祉」は今を生きるすべての人たちが、幸せや豊かさを感じることができる社会を作っていくということ。

 いや、今生きている人のみならず(「持続可能な社会」とも言いますが)後世(子供や孫、その先)までもが「幸せ」や「豊かさ」を感じることのできる社会を作ることで、福祉現場の職員の方々は(一人ではできないので、役割分担して)その一端をそれぞれが担っているわけです。

 R香さん、娘さんには「ママは、すべての人が幸せや豊かさを感じることができる社会を作る仕事をしているのよ」とお伝えください。

 そして、これからもより良い仕事をするためにも、日々の仕事に埋没し、仕事をすることを目的化しませんように。

 日本人は真面目な方が多く、周囲の調和を気にして(空気を読みすぎ)休みも取らずに一生懸命仕事していたら、気づいたら「家族がバラバラになってしまっていた」、とか「心身の調子を崩してしまった」とならないよう、自分にやさしく。

 R香さんが幸せになって不幸になる人はひとりもいません。むしろ、まずは自分自身が心にゆとりをもって、幸せと豊かさを感じつつ日々過ごせなければ、ご家族や周囲の人(仕事上接するご利用者やそのご家族)も人を幸せにすることはできないのではないでしょうか。

 福祉の仕事の目的(すべての人が幸せや豊かさを感じることができる社会を作ること)から離れず、良い仕事を今後も展開されていかれるために、まずは自分を大切に。応援しております。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.212
発行日:2022年10月28日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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