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VOL.206
2022. 4月29日

WAIWAIBOX

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「指導」と「ハラスメント」

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 4年4月>

Q.障害者支援施設に勤務しています。職場では、中間管理職的な立場です。部下(F氏:29歳)の担当業務に関するやり取りで、指導しても素直に聞き入れられず反発される等行き違いが生じたことがありました。その件以来、仕事上アドバイスをしてもパワハラと受けとられるように。その後F氏は病休を取得。私が加害者扱いされてしまいました。業務上の指導とハラスメントとの境界線はどこにあるのでしょうか。
(L郎:40歳)

A.ひとつ言えるのは、ハラスメントは被害を受けたという人の主観によるという捉え方です。つまり、その境界線はL郎さんの中にあるのではなく、F氏の中にあるということ。

 だからといって、何でもかんでも「ハラスメント」と認定されるわけではありません。当事者(両者)の言い分、そして周囲の職員からのヒアリング等により、そのやり取りが客観的にみて、実際意図的に個人を一方的に攻撃するものであったかどうか、その関係性が固着化(慢性化)していたがどうか等ふまえて判断します。

 むしろ過剰にハラスメントを怖がるあまり、必要な指導ができなくなるほうが組織にとっては問題でしょう。ではどうしたら良いか。

【ハラスメント予防の3原則】
1.特に部下(チーム内)職員とは、普段から仕事以外のコミュニケーションをたくさんとるようにしておく
2.「言い(伝え)方」「聞き(受けとめ)方」そして「共有の仕方」に工夫を
3.関係性の薄い(被害的に取られそうな職員)に個別指導や面談を行う際、リーダーの補佐的役割の人に入ってもらい三者にて行う

 1は、2の前段階として、どんなに言い方・聞き方に気をつけたとしても、そもそも関係性が薄ければ、どんな指導や指摘も悪く捉えられてしまいがち。人は自分を責める人に対してネガティブな気持ちを持ったり、自分を守ろうとしたりする傾向がありますから。

 2は、リーダー的立場の方が普段苦心され、やられていることだと思います。ただ、工夫は必要と思います。「共有の仕方」の工夫とは、双方が同じ地図を描けたかどうかの確認作業です。お互いの話合いの結果や捉え方にズレはないか、共有できたかどうか確認します。

 3は、二者関係であれば「言った言わない」の水掛け論になってしまいます。建設的な指導・話合いをするためには、客観的に事実を見ている人が必要になります。

 今回のご質問への回答は、各論から入ってみました。お気づきの方も多いと思いますが、根底には“コミュニケーション”という課題がありますね。

 コミュニケーションは人間の身体に例えると血管や血液・血流に例えられます。コミュニケーションの少ない職場は血液が流れていない。逆にコミュニケーションが豊富な職場は、新鮮な酸素をいっぱい含んだ血液が、身体の隅々(末端)にまで行き渡っているということ。

 ハラスメントの起きない職場(チーム)づくりのために何をしないといけないのか、もうお分かりですね。まずは自ら。L郎さんが今できることから始めてみませんか。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.206
発行日:2022年4月29日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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