本文へスキップ

VOL.205
2022. 3月25日

WAIWAIBOX

Sowelクラブ公式サイトをみる

風通しの良い職場づくりを

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 4年3月>

Q.仕事の業務以外の相談です。私は高齢者の入所・通所事業を運営する法人の入所部門に勤務しています。現法人では職歴が8年目。
 現在フロアリーダーを任されていますが、職場の若い職員の男女間のもつれにより女性がメンタルヘルス不全になり、病休を取得。
 プライベートな問題が原因の場合、リーダーとしてどう対応すれば良いのでしょうか。
(K子:39歳)

A.人間は動物の中で最も社会性の高い動物です。人によりますが一般に入職当初の1〜2年目は、自分の目の前の仕事だけきちんとしていれば評価され、プライベートでは異性との恋愛関係のもつれもあるでしょう。何年かすると職場では複雑な人間関係にもまれ、仕事の異動やプライベートでは子育てや後輩の面倒に忙殺され、そして管理職ともなれば、部下の育成や指導・夫婦関係・義父母や実父母の面倒(介護)等、人生はめくるめく変化の中にあり、そこから逃れることはできません。

 つまり人生を重ねるにつれ、自分がどんなに努力してもコントロールできない領域やしがらみが広がっていきます。

 どんなに計画的に人生を歩もうと思っても、社会の中で暮らすということは常に相手のあることですから、想定どおりにはまず進まない。だからこそ、昔の人は色々なストレス(人生イベント)が重なりやすい節目の時期を「厄年」と言いました。

 人間は社会的場面があるからこそ、支え合い、共に助け合うことで自分を保つことができるわけです。しかし“隣は何をする人ぞ”“他人にあまり干渉しないようにしよう”等々、都市化に伴い人間関係が疎遠になっていくのもまた事実です。

 しかも今はコロナ禍の時期。なるべく密にならず、食事は黙食。日常のさりげない会話の量がことごとく減っています。互いのつながりや支え合いが切れやすく、誰しもが疎遠になりやすい(孤立化しやすい)状況に置かれています。会って会話すれば課題を共有でき、気持ちも軽くなるはずなのに…でも、できない。個人が慢性的なストレスを抱え込みやすいコロナ禍の時期は既に2年以上になりました。

 「職場の風通しの良さ」は、「仕事以外のちょっとしたコミュニケーションが豊富」と言い換えることができます。K子さんの悩みはいたってまっとうですが、だからこそ仕事以外のちょっとした会話が多い職場となるように工夫してみてはいかがでしょうか。例えば仕事以外の様々な課題を身近な人と共有したり話したりすることができる場、そうした社会的な「場」が人を、人の心を救うはず。リーダーだからと構えず、まずは人としてK子さんが孤立しがちな職員にさりげなく話し掛け、仕事以外の日常的な出来事を話されてみては。

 応援しています。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.205
発行日:2022年3月25日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
   (一財)秋田県民間社会事業福利協会
〒010-0922 秋田市旭北栄町1-5 TEL:018(864)2703