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VOL.203
2022. 1月28日

WAIWAIBOX

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視点を変えて

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 4年1月>

Q.高齢者の入所施設で介護の仕事をしています。人からよく“気にしすぎ”“気を使いすぎ”と言われます。人の顔色を伺って今日の機嫌はいいのかを考える癖があり、機嫌が悪いと自分のせいなのでは?と落ち込みます。自分で“変わりたい”と思っていますが解決の糸口が見えません。気にしないようにするにはどうしたら良いでしょうか?
(I美:39歳)

A.“気にしすぎ”に関するご相談は、以前もこのコーナーで取り上げたことがありました。福祉現場で対人支援を行っている人には比較的多い悩みかもしれませんね。

 仕事上は、そうした性格がプラスに働くことも多々あるでしょう。何故なら、現場はご利用者との細かなコミュニケーションの積み上げによって成り立っているからです。行った支援や声掛けがご利用者にとって心地よいか、そうでないか。快か、不快か。その反応をつぶさに感じ取りながら次の支援を展開していく、そうした仕事です。

 しかしそれが癖のようになり、プライベートの人間関係や職場の人間関係にまで影響すると話は別です。I美さんのようにいつもビクビクしながら同僚の顔色(機嫌)を気にしていると、当然相手の気分に左右され、相手の八つ当たりを受けたり、逆に相手をイライラさせてしまうきっかけを作ったりしてしまって、かなり負の影響を受けることに。

 その良くないサイクルを何とか断ち切りたいですよね。それには、まず“自分自身の考え方の癖”に気づくこと。“気づき”がないと“変化”はあり得ませんので。

 例えば何の根拠もないのに相手が自分に悪く反応したと早合点し、悲観的な結論を導き出してしまう考え方の癖のことを「心の読みすぎ(mind reading)」といいます。

例)同僚のAさんに挨拶した際、挨拶を返してくれなかったことから「自分はAさんに嫌われている」と深読みし、かえって自分を追い詰める捉え方をしてしまう。

【対処法】Aさんは「たまたま忙しかっただけ」「今日出がけに旦那さんと喧嘩したのかも」「挨拶してくれなかったことが、そのまま私が嫌われていることにはならない」と他の可能性も考えるようにする。

 目の前の現象をどう捉えるかはその人の自由。今日から「私は状況を悪い方に捉える癖がある」「いろんな角度から捉えるようにしよう」と自分の視点を変えストレスの受け止め方を変えるよう心がけましょう。

 それを手伝ってくれるのが身近な友人。I美さんの謙虚で控えめなところが好きと言ってくれる友人は必ずいるはず。そんな友人ならば、きっと上手く言い換えてくれますよ。

 ひとりで抱え込まず周囲の力を借りて心の健康を保つのも、この福祉現場で長く健康的に働き続けるためには必要な能力です。

 I美さん、応援しております。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.203
発行日:2022年1月28日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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