誰かに相談してみませんか
<安藤亘の1分間カウンセリング 3年9月>
Q.高校を卒業し、調理師免許を取得する専門学校に入学。卒業後、地元で大きな社会福祉法人に就職し、1年前からその法人がいくつか運営している保育所の調理師として働いています。施設の食事づくりは日々重い食材を運んだり、暑い中大きな鍋に入れた具材を特大シャモジでひたすらかき混ぜたりする、結構大変な仕事なんです。毎日その繰り返し。最近やる気がなくなってきました。
(F次:25歳)
A.仕事って何でしょう?上記はF次さんから、かつて対面相談で受けた相談内容です(個人を特定できないように状況等加工しています)。
私はその際、今回の相談内容を先輩に相談したかどうか聞いてみました。「先輩も働き出した頃、F次さんと同じような悩みを抱えていたのではないでしょうか」と。
先輩にはまだ相談していないとおっしゃるので、「次回の相談日(約1か月後)までの宿題として、先輩にF次さん自身が抱えている悩みを相談してきてください」とお伝えしました。
約1か月後の相談日、F次さんはすっきりとした表情で登場しました。訳を聞いてみると、前回の相談日の翌日、先輩に最近仕事へのモチベーションが下がっていて、先輩もかつて同じようなことがあったかどうか、そしてあったとしたらどのように越えたのか聞いてみたそうです。すると…(以下、先輩とF次さんとのやりとりです。)
−(先輩)お前、残菜見てないの?
−(F次さん)えっ、残菜ですか?給食の残りですよね。見てますけど。
−(先輩)で?お前何も感じない?
−(F次さん)そりゃ、今日は結構残したな〜とか、もったいないな〜とか思います。
−(先輩)そうじゃなくてさ。俺たちの仕事は、子どもたちの成長を支える大事な仕事なんだ。最近は、朝飯もろくに食べてこない子も多いし、夕飯だってコンビニのおにぎりやファーストフードで済ます子も多いらしい。でも、保育園の給食だけはみんな平等に食べられるだろ。栄養のバランスもしっかり考えてあるし。余すところなく食べて血肉にしてもらう仕事なんだよ。だから見るのさ、残菜を。残菜を見て、今度は同じ材料を使っても残さず食べてくれるように、調理や味付けを工夫するんだよ。
F次さんは、給食づくりはただ重いものを運んだり、暑い中鍋をかき混ぜ続けたりするだけの仕事ではなく、子どもたちの成長(未来)を支える大事な仕事であるという「仕事の本質」を捉え直すことができました。つまり「誰かに相談する」ことにより「ストレスの受け止め方を変える」ことができたのです。
F次さんの今後に期待しています。