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VOL.197
2021. 7月30日

WAIWAIBOX

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「辛さ」は成長の糧に

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 3年7月>

Q.地元の福祉系専門学校を卒業後、福祉とは全く関係のない仕事をしていました。しかし今年4月に障害者の就労支援を行う事業所に転職し、働き始めて3か月が過ぎました。若い職員も多いのですが、皆さん凄くしっかりしていて、自分のできなさ加減に嫌気がさします。
 焦っても仕方がないことはわかっていますが、自信のない中で日々仕事をしているのが正直辛いです。
(D介:32歳)

A.D介さん、このコーナーに相談される方は、物凄く真面目に頑張っている人がほとんどです。

 “「仕事」なんて「人間関係」なんてどうでもいい”と思っている人には悩みがありません。どうでもいいわけですから。

 一方D介さんのように仕事を終えて自宅に戻ってからも“今日はご利用者に、どうしてあんな対応・こんな言い方をしてしまったんだろう”と悶々とその日あったことを振り返り、仕事や人間関係に悩む。

 どうでもよくないからこそ悩みが生ずる訳で、そうした人は成長します。つまり人生の価値観の高いところに「良い仕事をしたい」「人間関係を大切にしたい」という価値観を置いている証拠。だから伸びしろは無限大です。

 過去の辛い経験は自分の中にだけ留めておけば確かに忌まわしく、見たくないことかもしれません。しかし、そうした辛さを人のためには生かすことは可能です。それが福祉の仕事の魅力かもしれません。

 そして自分が人として成長することによって良い仕事が展開でき、さらに良い仕事を展開することによって自分自身が成長する“好循環”を生み出す仕事なのです。

 D介さん、確かに今は辛い時期と思います。でも、その今の“辛さ”は自分を育ててくれる糧そのものです。倉田百三(著)『出家とその弟子』という書籍の中に親鸞が弟子に語る次のシーンがあります。「寂しい時は寂しがるがいい。運命がお前を育てているのだよ。只何事も一すじの心で真面目にやれ。(中略)…真面目でさえあれば、それを見出す智慧が次第に磨きだされるものだ。」

 今をじっくり味わいながら、年単位で厚みのある自己を確立・形成していかれてください。

 大木も、急に太く大きくなったわけではありません。根をしっかりはった大木へと成長していくためには、暑い夏・寒い冬を繰り返し、年輪を形成して少しずつ太く大きくなっていったのです。

 経験の浅い時期、幹はまだ細いのでポキッと折れないように「何とかなるさ」「誰かに相談してみよう」といった、柔軟な“しなるけど折れない”しなやかな強さでストレスと上手く付き合うように意識してみてください。

 一人で抱え込まず誰かに相談することで「もう、どうにもならない」から「何とかなるさ」へと、ストレスの受け止め方は大きく変わります。D介さんの今後に期待しています。


ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.197
発行日:2021年7月30日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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