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VOL.196
2021. 6月25日

WAIWAIBOX

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職場は十人十色

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 3年6月>

Q.高齢者施設で介護の仕事をしている3児の母です。
 相談したいのは同僚に対してのことです。家庭もあるので私なりに日々計画的に仕事して残業しないようにしています。休憩時間は提出書類や事務的な仕事をし、決められた期限に提出。しかし独身の職員や子育てが終わった職員は雑談が多く、ダラダラ仕事してるように思えて…。私は時間通り皆より先に帰るので、周囲に気兼ねして気を遣っています。このイライラどうしたら?
(C子:42歳)

A.C子さん、頑張っていますね。結論からになりますが、人は明確な目標があると頑張れる生き物です。でもそれは一時期に限定されます。ずっと今のC子さんの状況が続けば、燃え尽きてしまいます。つまり長い人生、様々な時期があって、お互い様ということかもしれません。

 さて、福祉現場ほど多様な仕事の仕方が許される(許されないと回らない)職場はないのではないでしょうか。仕事の効率だけを考えれば、多くの企業のように9時〜18時の8時間勤務。休憩も休みも同じ。同じ時間にみんなが仕事しているので、職場としては最も効率的です。

 しかし人間は機械ではありません。そして子育ては予想のつかないことの連続で、合理的・効率的に進めることが不可能な領域。

 また福祉現場は特に女性によって支えられている面が多く、人手が足りず、募集しても人が集まりにくい職場であるため、多様な働き方を認めないと現場が回りません。効率重視では成り立たない。

 さて「ダイバーシティ」「男性の育児休暇取得」「働き方改革」「ワークライフバランス」等、聞こえの良いスローガンは掲げられますが、先進国の中でも日本は最も遅れをとっています。現にC子さんの職場でも、勤務時間通りに働いている人よりも残業している人の方が偉く、頑張っているように見えてしまう風潮がまだあるのでは。

 戦後数十年、馬車馬のように働いてきた少し前の世代が生きてきた時代は仕事をするために仕事をする、つまり仕事が目的化しやすい時代。「ゆたかさ」と言えば大きな家・高級車・ブランド品等々物質的な(他者と比較することで感じる)ものがほとんどでした。

 近年は物が溢れていて、何でもすぐに手に入る時代。そして共働きが普通です。つまりこれからの時代は、夫婦ともに忙しい状況であっても、自分や家族の心の「ゆたかさ」が重要視され、求められる時代です。今はその過渡期なのではないでしょうか。C子さんは、ある意味これからの時代を先取りしているのかもしれませんね。

 とはいえ、職場の皆がC子さんのような働き方を“しなければならない”となったら時間に管理されギスギスした、また別の問題が生じるかもしれません。

 今の時代の「ゆたかさ」に合ったゆとりある豊かな日々を送るためには、他者の多様な働き方も同じように受け入れ、職場全体でどうしたら良いか、考える必要があるのかもしれませんね。

 C子さん、応援しております。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.196
発行日:2021年6月25日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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