「主体」は誰…?
<安藤亘の1分間カウンセリング 3年5月>
Q.障害者支援施設(入所型)で係長兼課長補佐を務めています。直属の部下(26歳:女性)が最近元気がなく、声をかけてみると「睡眠がとれない」「食欲がなく意欲がわかず、午前中特に調子が悪い」と言うので、メンタルクリニックの受診をすすめました。しかしすぐにはつながらず、体調不良を訴え休みが続いたので、受診をすすめつつ病休をとらせました。しかし不調を理由に現在もクリニックは受診できていません。その対応は間違いでしょうか?
(B郎:45歳)
A.ただ単に「間違い」ではないということは、はじめにお伝えしておきますね。
そもそも長い人生においては必ず想定外の何かが生じます。そしてその都度生じた出来事に日々対処し続けるのが生き物の宿命です。その対応が完全に“正解”か“間違い”かを区別することは不可能です。
それを前提として状況を少し整理し、今後どうしたらよいか一緒に考えてみましょう(以下)。
1.直属の部下が元気がないので声をかけたところ
「睡眠がとれず食欲がなく、特に午前中調子が
悪い」と
2.早期受診をすすめた
3.うまくつながらず体調不良による休みが続いた
4.とりあえず病休扱いにした
5.部下は上司(B郎氏)のすすめで現在病休中
(受診しておらず)
ということですね。デジタルですと、何の違和感もございませんが、本来ならばアナログ(行間)でとらえる必要がありますね。
私の私見ですが、2.と3.の間と、3.と4.の間に少し違和感を感じました。(じつはそこが大切なところです)
本来、病休(育休も同様ですが)は本人が上司にお願いして取得するもの。本人自身がそれなりに周囲の職員への配慮も必要となります。
ただそれが上司からの提案ですと、主体が「上司」になります。なぜ上司は本人に病休を取得させたかったのか、ということになります。
本人は「上司からすすめられたから」という受け身で制度を利用する可能性があります。給料を得て席を残しながら休む、しかも上司からのすすめでとなりますと、いわゆる疾病利得を得やすい状況となります。
疾病利得を得ると、結果疾患が治りにくくなることがあります。そもそも今回の休みは誰のどのようなニーズによってスタートしたのか。病休ならば本人が自分の病気を治し、職場に復帰するために取得することになるので職場を休む理由と復職にあたっての目的が明確になります。
本件について、どなたか専門家(専門職)に相談しながらすすめられましたでしょうか。今後は、ぜひ身近で相談できる専門家に相談しながら客観性を保った関わりが望まれるところです。
詳しい状況がわからないままに、いろいろとお伝えしてしまい申し訳ございません。
ご相談、ありがとうございました。B郎さんがひとりで抱え込むことなく、少しでも心の負担を軽くして今を乗り越えていかれますように。
応援しております。