怒りのコントロール
<安藤亘の1分間カウンセリング 3年3月>
Q.保育園に勤務しています。行事の準備等忙しい時期に、何度言ってもわからない園児や臨機応変な動きができない同僚に対して(対応を繰り返すうちに)こちらの対応も口調もきつく…。怒りや苛立ちが表情や態度に出てしますのです。どうしたら安らかな気持ちで働くことができるでしょうか。
(Z子:40歳)
A.心理学博士ジョン・グレイの『MEN ARE from MARS/WOMEN ARE from VENUS』という本をご存じですか。
日本では大島渚さんが訳し、『ベスト・パートナーになるために』という本が三笠書房から出版されています。
この本は「男性はもともと火星から、女性は金星からやってきた」というたとえ話を題材にしたもの。そもそも感情も文化も異なる者どうしが近い距離で生活するため、その違いを理解・尊重しないといけないという趣旨の話です。
これはそのまま職場の人間関係にも置き換えられます。多かれ少なかれ、生きてきた環境も文化も異なる者同士が協働する場が職場です。
違いがあって当然。人間関係に悩むのも当然。人間関係に悩みたくなければ、無人島でひとりで暮らすしかありません。そうであるならば前向きに捉えてみませんか。
長時間を過ごす「家庭」や「職場」の人間関係は、無意識に相手に対して“こうであってほしい”“
普通こうだろう”“言わずにわかってくれよ”と期待してしまうもの。相手の本意を確認する前に感情的に反応しやすい距離感です。
「怒り」の感情は、自分への怒り(コンプレックスや悔しさ)をバネにして、自己成長へのモチベーションとすることも可能ですが、ちょっと間違えると自分も相手も丸コゲに。コントロールが難しいのです。
明日からイライラせず他者に対して怒らなくなる、そんな魔法のような方法があるわけないのですが、工夫点として3点ご紹介します。
1点目、人の感情の沸点のピークは6〜7秒と言われています。そのピークを何とかしのげなければ公開することも極端に少なくなるでしょう。
2点目、タイムアウト。つまり上記6〜7秒をしのぐための効果的な方法が“その場から距離を置く”ということ。トイレに行く、水を飲む、その話題は少し時間をおいてからにする等、可能な限りその時にできることをしてみることで主観から客観に切り替えやすくなります。
3点目、自らの未熟さに気づく。先述の2つの方法は対処療法的に生じた怒りの気持ちを抑えるものですが、そもそも怒るという感情自体を生じにくくします。自分の人としての懐が深くなる、つまり自己成長の糧とするのです。例えば「戦時中の人たちはもっと辛かったはず。私の苦労なんて取るに足らない小さなものだろう」「こんなことでイライラするなんて私は何て心の狭いちっぽけな奴なんだ」と。
まずは行動あるのみ。やり易いものから始めて下さい。貴重な人生の一日が、Z子さんにとって心穏やかな充実した一日となりますように