ただ前だけを見て
<安藤亘の1分間カウンセリング 2年10月>
Q.特別養護老人ホームに勤務。今年2月下旬からコロナの関係で、職場ではご利用者をコロナに“感染させない”ため、一つの仕事を行なうのに余計にひと手間もふた手間もかかるようになりました。さらにコロナを職場に“持ち込まない”ために、休日であっても行動制限せざるを得ず、自粛自粛でモチベーションが上がりません。立ち止まってうずまり、自分の内面をみつめて鬱々とする日々です。
(U治:45歳)
A.最近、今回のような相談が増えています。福祉現場の宿命のような内容ですね。ありがとうございます。真摯に今の状況に立ち向かい、さながら向かい風の強風の中、抗うように歩いているU治さんの姿が目に浮かびました。
強い向かい風にあっては、少しでも後ろ向きになれば吹き飛ばされてしまいます。そして、うずくまって悩むよりも歩きながら一緒に考えましょう。前かがみに、ただ前だけを見て。
さて、日本はここ20〜30年の間に大きな災害が立て続けに起きました。阪神淡路大地震、東日本大震災、九州や東北・北海道等の大雨による被害、そして新型コロナウイルス(以下コロナ)等々。
また、日常においても、職場や家庭の人間関係上の悩みが何かしら発生します。何もない日が珍しいくらいに。
こんな時だからこそ、原点に立ち返って少し考えてみましょう。
突然ですが、「福祉」って何でしょう?携帯やスマホ、パソコン等で調べてみて下さい。Wikipediaでは、「しあわせ」「ゆたかさ」と説明されています。
以前このコーナーでもお伝えしましたが、皆さんの共通する「生きる目的(何のためにいきているのか)」は“自分や家族、周りの人を幸せにすること”とお伝えしました。つまり皆さんの「福祉の仕事」そのものが「しあわせ」に直結しています。
では「ゆたかさ」についてはどうでしょうか。豊かさと聞いて、何を連想されましたか。日本も戦後、生活(衣食住)の豊かさ、つまりお金で買えるものを目指していた時代がありました。つまり経済的豊かさです。しかし現代、衣食住に必要なものは比較的簡単に手に入り、全て揃っている環境の中で生まれ育った世代にとっては、それでは満足できません。つまり「こころの豊かさ」です。
U治さんも、コロナ禍であって、立ち止まったからこそ自分や仕事と向き合って見えてきたこともあると思います。そして、人はひとりでは生きていけない存在です。この苦難に立ち向かっているのはU治さんひとりではありません。世界中の人々があえいでいます。
だから大丈夫。U治さんは孤立した存在ではありません。世界共通の課題に、どんな時も「しあわせ」と「ゆたかさ」を意識して、歩きながら一緒に立ち向かっていきましょう。応援しています。