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VOL.187
2020. 9月25日

WAIWAIBOX

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帆を上げて風を待つ

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 2年9月>

Q.私は福祉系専門学校を卒業した後、地元に戻り高齢者のヘルパー事業所を数か所運営している今の法人に、今年4月に就職しました。半年近く経ちましたが、まだ何か居場所がないというか、馴染んでいない気がします。
(T子:25歳)

A.T子さんは、今年の3月に学校を卒業し、4月から地元に戻って懸命に働いてきたのですね。本当にお疲れさまです。

 新型コロナウイルスの関係で、今年3月に学校を卒業し、4月から新たな環境(就職:職場、進学:学校)に飛び込んだ方は、本当に大変な日々を過ごされていらっしゃると思います。

 卒業式もこれまでとは異なり何かすっきりせず「これで本当に終わったな」という実感を持ちにくく、気持ちの区切りや切り替えができなかったのではないでしょうか。
 
 また就職(進学)しても歓迎会等もなし。近くで会って話して、歓迎会で飲んではじけることができれば、新しい職場や学校の環境にも比較的すぐ馴染めるのに、そうした機会がなくなってしまったのが今年の3月から4月にかけての現実です。

 また、職場では基本マスク。顔の半分はマスクで隠れていて、関係づくりの初期の基本“顔と名前を覚える”のも、なかなか難しいのではないでしょうか。

 相手の本音や言いたいこと等推しはかることが難しく、そうした日々のストレスが心や身体に疲労感を溜めていきます。

 どうしたら良いか。これまで日本は何か問題が生じても、概ねこれまで欧米諸国が越えてきたことが多く、前例に学び器用に立ち回ってきました。しかし今回の新型コロナウイルスだけは、全世界がほぼ同時に遭遇した脅威で、前例がありません。

 T子さんが遭遇している現実は、個人の力ではどうすることもできない領域。

 そんなときは、あまり焦って何とかしようとせず“帆を上げて風を待つ”つまりT子さん自身は出来るだけ心にゆとりをもって、身近な人に対してにこやかに接する。そして、目の前の仕事と向き合って、日々ほんの少しでも良いので昨日の自分を超えてみることに意識を向けてください。

 あきらめ、帆を下げて流されているとチャンスをつかめませんから、周囲の根拠のない不安に惑わされず、自分を磨いてくださいね。

 きっとT子さんに風は吹いてきます。応援しています。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.187
発行日:2020年9月25日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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