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VOL.186
2020. 8月28日

WAIWAIBOX

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今だからこそ…

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 2年8月>

Q.障害者支援施設に勤務しています。全国的にみて、他県と比べて私の暮らしているA県は新型コロナウイルスの感染者は少ないのですが、現場は「ご利用者には絶対にうつしてはいけない」という思いで職場もピリピリしています。
(S子:40歳)

A.「ステイホーム」「人との距離をとれ」「近い距離で密な会話はするな」これは人間にとって最も辛いことです。たとえ人との接点がある職場等であっても、ほぼ一日中マスク着用。昼食や休憩時間であってもマスクなしの会話は厳重に禁止されていますので、コミュニケーションにも大きな影響を及ぼします。

 コロナ以前は、それがかなり自由でした。しかし個人が本来持っていた生きいきとした“生きる力”は、今遭遇している日常(他者との対話が少なく距離がある状況)においては一人ひとりが「孤立」しやすく、それを活かすことは困難です。

 人は朝起きたら太陽の光を浴び、家から外に出て誰かと対話することでしか、心身機能を維持・向上させることができない動物です。

 家から一歩外に出れば、様々な刺激(ストレス)を受けますが、逆に家にいる時間が長くなると(日中約8時間以上誰とも話さないでいると)、心身機能が低下してしまいます。身体面では運動不足、身体を支える筋肉や足腰の筋力低下は勿論、精神面では意識が内側に向かいやすくなり、軽い抑うつ状態になるといわれています。

 「つながりの再構築」という言葉は、政府の福祉に対する期待が詰まった言葉です。とはいえ福祉にだけ期待されても厳しいですよね。

 福祉従事者の仕事は、障害があっても高齢になっても社会とのつながりを保ちながら、地域の中で主体的に生きていくことができるよう、直接・間接的に支援サービスや制度・人を紡いでいくことによって、ご利用者の命を日々つないでいく仕事です。

 人と人とのつながりが社会を形成しているわけですが、その「つながり」「コミュニケーション」を断ち切るのが今回の新型コロナウイルスによる最大の困難。

 S子さん、月並みですが朝の来ない夜、春の来ない冬はありません。どんな1日でもS子さんの貴重な人生の1日に変わりはありません。

 そうであるならば、小さなことに喜びを感じ感謝する。ぜひ日々の日常を知恵と工夫とエネルギーを総動員して充実させてください。

 福祉現場の皆と、身近な家族と、何とか乗り切りましょう!応援しています。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.186
発行日:2020年8月28日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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