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VOL.184
2020. 6月26日

WAIWAIBOX

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より良い手本を自分から

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 2年6月>

Q.障害者支援施設と保育園を数か所運営している法人の保育園で主任をしています。毎年6〜7名は正規職員を採用し(うち4〜5名は保育士)、各保育園に分散配置しているのですが、職場の人間関係がギクシャクしています。40〜50代のパート職員は、空気を読んで臨機応変に対応できますが、若手の正規職員が言われたことしかできず、指示を待つばかり。パート職員から不満の声が絶えません。できない理由を見つけては、責任逃れする若手職員が多くなってきたように感じます。どのように育成していけば…
(Q子:39歳)

A.福祉現場の仕事は、その人の仕事の経験年数もさることながら、人間性も問われます。

 何かを売る仕事であれば、毎月ノルマをこなしさえすれば、その過程(やり方)はあまり問われません。数値目標をクリアできたかどうか、結果オーライ(結果が全て)なことが多いでしょう。

 結果だけを重視すれば、人は近道(ズル)したくなるもの。真面目に仕事するのがばからしくなってきて、次第にやる気も失せていきます。

 しかし福祉現場の仕事は結果だけでなく、むしろその「過程」そのものが大切です。結果は後からついてくる、つまり手が抜けない。だからこそどんなに経験を重ねても終わりがなく、奥が深くて味わい深い、魅力的な仕事だと思うのです。

 今の時代、いろんなデジタル製品が身近となり、楽に効率的にこなすことばかりが優先されている、そんな時代にデジタル化できない、究極「アナログ」な仕事が、正に福祉現場の仕事と言えるのではないでしょうか。

 相手のあることですから、現場の仕事は一つひとつの積み重ね。じっくり時間をかけてご利用者との関係づくりをしていくところからしかスタートしません。支援者のペースで効率的に動こうとして、ただ急ぐだけでは関係が悪化し、振り出しに戻ることも。

 福祉に限ったことではなく、ひとりで完成する仕事はひとつもありません。心にゆとりをもって仕事と向き合うために、まずは職場のチームワーク。抱え込まず連携を図ることが肝要です。

 そして「受身から主体へ」。すべてはそこから始まります。後輩職員たちが一歩踏み出せる主体的な自分自身を形成していくために、まずはできない理由を探さず、考える習慣が大切です。
 
 言葉で伝えてもなかなか伝わらないかもしれませんね。日々、Q子さんのような視野の広い、問題意識の高い身近な先輩が、日々業務の中で見本を示していきましょう。応援しています。


ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.184
発行日:2020年6月26日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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