より良い職場づくりのきっかけを
<安藤亘の1分間カウンセリング 2年4月>
Q.訪問介護事業所に勤めています。慢性的な人員不足で、入職しても3年未満でスタッフが辞めていってしまいます。上司が残業していて下の人が定時に帰りにくいからなのかなとも思います。どうすればよいでしょうか。
(O子:40歳)
A. ご質問ありがとうございます。O子さんは、日々職場の様子をみているので、たしかに“定時であがれず上司が残っているから部下が帰れない”ということも理由のひとつかもしれませんね。
しかし人が足りない、定着しにくいというのは、今の福祉現場全体の共通課題であるといえるでしょう。福祉現場の職員のほぼ全員に近い方が、人材流出や若い人が定着しないことを憂いています。
では、どうしたら良いか。これは、職場全体で真剣に考えていくテーマではないでしょうか。ひとりで抱え込まず職員同士が自分のこととして「もっと働きやすい職場にするために、今自分にできることは何か」を真剣に考えることが肝要です。
しかし若い方や職歴が浅い職員は会議で意見を言いにくいこともあるでしょう。そこでワールドカフェといった話合い方法をご紹介します。
応用・活用のきく“知恵”は機械的(管理的)な会議や研修の中で生まれるものではなく、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる“カフェ”のような空間でこそ創発されるとう考えに基づいた話し合い手法で1995年にアメリカで開発されました。
まずテーマを決め、4人1グループとなり話し合いを始めます。(4人は「話す・聴く」のバランスが最も良い人数とされています。)
手元の白紙に自由にメモをとりながら1ラウンド20分程度の会話を3回(3ラウンド)行います。3ラウンド行うと、最終的にあたかも参加者全員で話し合ったかのような実感が得られるグループディスカッション法です。ルールは至ってシンプル(以下)。
・否定的な発言のみ制限あり。
・1ラウンド約20分毎に、4人のうち1名(ホスト役)を残し、3名は他のグループへバラバラに散る形で移動します。ホストは3ラウンド中ずっと最初の元居たグループに居残りで、同じ人が担います。
・新しいグループになったときに、ホストはこれまでの話し合いで出て来たキーワード等報告し、その後はそのまま新しいメンバーでテーマについて会話を続けます。
O子さんと同じ思いの方は身近にたくさんいるはず。ひとりでなく職場の皆と一緒に、職場全体の問題としてじっくり腰を据えて話し合ってみては。一歩踏み出すO子さんの勇気を、応援しています。