笑顔って本当に必要ですか?
<安藤亘の1分間カウンセリング 31年3月>
Q.在宅介護の仕事をしています。同じ法人で仕事を始めて15年近くになりますが、当初は先輩達から「笑顔が大事。ご利用者の前ではできるだけ笑顔で」と言われてきました。しかし最近のご利用者は、一生懸命やっても“やって当たり前”といった方も多く、気が付くとトレードマークの笑顔が消えています。笑顔って本当に必要ですか?
(B子:37歳)
A.私は人と接する仕事を行う方を対象とした研修を行うことが多いのですが、研修の中でよく「対人支援の仕事で一番大切なものは何でしょうか」と質問をします。
その中でダントツのトップが「笑顔で接する」という答えです。確かに笑顔は他者に対して温かさや明るさを与えますし、また安心感や癒しをもたらします。しかし仕事ではなく日常の場面で私たちはどれだけ心から笑っているのでしょうか。
近年の研究で「笑う」という行為は日頃のストレスを緩和し、自分自身の心身に対してかなり良い影響を及ぼすことがわかっています。つまり笑顔は“人のため”だけでなく“自分のため”にも笑顔でいることが何より大切なのです。
ストレスの多い福祉現場で働く皆さんにとっては、仕事における「笑い」だけでなく、仕事以外の場面でも意識して「笑い」を日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
ストレスによって発散されるホルモンの一種であるコルチゾール(cortisol)が増えると血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下等をもたらすことが明らかになっています。しかし声を出して笑うことで酸素を大量に取り込むと、コルチゾールが減り、血圧低下、血流改善といった健康効果が報告されています。
さらに最近の研究から、ガンを抑制する働きもあることが知られています。人間の身体にはナチュラルキラー(NK)細胞というガン細胞やウイルス感染細胞を攻撃する細胞があり、ストレスに継続的にさらされると、このNK細胞の活動が停滞しガン細胞やウイルス感染細胞等の免疫機能に影響を及ぼします。しかしたくさん笑った後は免疫力が高まりNK細胞が活性化され、ガン細胞等の病原体への攻撃力が高まります。
インターネット(YouTube)等でも「笑える作品」が気軽に楽しめるようになっています。ただし、過ぎたるは及ばざるがごとし。夜更かしは避け、特に平日はたっぷりと睡眠をとるように心がけて下さいね。
B子さんの笑顔が曇りませんように。応援しています。