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VOL.168
2019. 2月22日

WAIWAIBOX

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ストレスに強い「木」とは?

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 31年2月>

Q.障害者支援施設のデイサービス部門に勤務。日々、夕方ご利用者がお帰りになるまでは戦場さながらで、中間管理職の私は職員の急な体調不良による欠勤やご利用者様の不穏状態等の矢面に立ち対応を迫られる立場です。そんなバタバタを日々見ている若手職員は将来を憂いて辞めていく、といった職員が定着しにくい悪循環に。
 最近インターネットで「レジリエンス」という言葉を知りました。今の職場に大事なキーワードと感じました。どのように職場に生かしたらよいでしょうか。
(A美:37歳)

A.レジリエンス(resilience)とは跳ね返り、弾力、回復力、復元力という意味を持つ言葉です。元々はストレス(stress)と共に、物理学の分野で使われていた言葉でしたが、個人・組織ともに通用する「さまざまな環境・状況に対しても適応し、生き延びる力」として使われるようになりました。

 近年、機械化・マニュアル化できない仕事(苦情対応や想定外への対処・対応)の比重が急速に増加してきて、これらのストレスや歪みから跳ね返って回復できる力「レジリエンス」が注目を集めています。

 「硬くて太い木」は、しなることなくストレスの影響をもろに受けてしまうので、ある一定以上のストレスがかかると折れてしまいます。人に例えると「他人に弱みは見せないで、自分の力で何とか乗り越えよう」と一人で抱え込むタイプの人は、いつしか強いストレスがかかった時に“ボキッ”と折れてしまいます。しかし、「柳に雪折れなし」という言葉があるように、柳や椰子の木、竹などはしなるけど折れない。つまり揺れながら「何とかなるさ」「誰かに相談してみよう」という、その“しなやかさ”が強さになります。

 そしてレジリエンスには「個人のストレス対処能力(ストレス耐性)を強化する点」と「管理監督者が組織全体のストレス耐性を強化する点」の両面があります。

 組織全体では、メンタルヘルスの専門相談窓口を導入し、社員が社外の専門家に気軽に相談できる支援体制を整え、問題を社内に滞らせないこと、社外の専門家の眼(視点)を入れることで、組織自体が柔軟になっていきます。

 また、日々のコミュニケーションにひと工夫凝らしてみては。例えば、朝のミーティングで、仕事以外で最近心に残ったことを一人ずつ話してもらいます。これにより社員同士の理解が深まり、相手を一面的に捉えた批判や非難が激減するでしょう。
 
 個人では、自分を見つめ直して「〜でなければならない」「〜すべき」「白黒はっきりさせないと気持ち悪い」といった自らの“ストレスになりやすい考え方の癖”を把握し、できるだけ柔軟に考え行動するようにします。コミュニケーションスキルやセルフケア能力を高めるようなセミナーに参加するのも良いでしょう。
 
 そして特にA美さんのように中間管理職の方、真面目で頑張り屋の方ほどストレスを溜めやすく、レジリエンスを高める必要があります。

 A美さんが今の職場のキーワード「レジリエンス」を高める一歩を踏み出される勇気を応援しています。


ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.168
発行日:2019年2月22日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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