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VOL.167
2019. 1月25日

WAIWAIBOX

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「1/fゆらぎ」のすすめ

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 31年1月>

Q.高齢者の入所施設で介護職員として働いています。最近、施設が建て替わり、新しくなりました。雰囲気も明るくなりましたしそれはそれで良いのですが、最近何だか落ち着かず、疲れがとれないんです。私は昔からアナログ世代で、ITやデジタル等苦手です。記録も電子カルテになりました。デジタル化・合理化が進んだ職場に馴染めず「昔は良かった…」とため息をつく日々です。
(Y子41歳)

A.Y子さんはアナログ派なんですね。お気持ちお察しします。実は私もアナログ派で、時計もデジタルが苦手でずっとアナログの時計です。

 とはいえ、Y子さんにとっては深刻な悩み。簡単に流せない内容です。
 
 たしかに合理的なものは無機質にみえます。例えばバーコード。何の癒し効果もないですが、そのバーコードが等間隔でなく不規則に、しかも少し曲がって揺らいでいたら木目に見えますよね。

 「1/f(エフぶんの1)ゆらぎ」という言葉をご存知でしょうか。規則正しさと不規則さがちょうどよいバランスで調和した自然界のリズムのことで、人のリラックスに深く関係していることがわかっています。

 一見規則正しいように感じる「波の音」も決して等間隔ではありません。また「そよ風」「小川のせせらぎ」「心拍の間隔」「電車の揺れ」「ろうそくの炎の揺れ方」「蛍の光り方」「クラシック音楽」など様々な自然現象の中に「1/fゆらぎ」が発見されています。そしてこの不安定さ・不規則さが人に心地よさや癒しを与えるようなのです。

 ところが、私たちの日常(机に向かって仕事をしている時等)を見まわしてみてください。等間隔で並んだ四角い机、直線でできた窓。現代は無機質な物質であふれています。生産性、効率性を考えると無駄を省いた幾何学的なデザインの方が都合が良いのでしょう。

 このような環境に置かれている現代人にとってストレスと上手に付き合い、ハリのある毎日を過ごすためには私たちの生活や取り囲む環境を「1/fゆらぎ」に合わせると、心身共にリラックスできます。

 そこで提案です。Y子さんの日常生活に「1/fゆらぎ」を取り入れてみては。クラッシック音楽ならば、モーツァルトの作曲した曲は、まさに「1/fゆらぎ」のリズムであることがわかっています。朝起きて、そして寝る前などに何気なくバックミュージックのように流すだけでもとても効果的です。

 職場であればホールや休憩室等可能な場所で自然の水のせせらぎ、小鳥のさえずり等環境音楽(CD)を流してみたい等提案されてはいかがでしょうか。

 Y子さんが少しずつ居心地の良い環境を整え、心のやすらぎを取り戻されることを願っています。


ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.167
発行日:2019年1月25日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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