ゆっくり、ゆっくりと
<安藤亘の1分間カウンセリング 30年 4月>
Q.高齢者福祉施設でユニットケアの管理者として日々忙しく働いています。私事ですが、先日実父が亡くなりました。高齢者福祉の仕事をしていますので身近なご利用者とお別れをする辛い体験を数多くしてきました。しかし実父となると全く異なり耐え難い辛さがあります。気持ちをどのように保ち、日々過ごしてゆけばよいのでしょうか。
(P男:45歳)
A. 身近な人がお亡くなりになりまだ1年経っていない場合、家族間でこれまでしたことのないストレスの多い話合いや手続き等、しばらくはしなくてはいけないことが多く、思い出を振り返る時間も心のゆとりもないことでしょう。
心の傷は、身体の傷と異なり、治る速度もゆっくりです。表面的には傷が治ったように見えても、その内部はまだまだ癒えていません。
心が大きなダメージ(傷)を受けると、日常生活に使わないといけないエネルギーが相対的に低下します。
普段同じことをしても疲れを感じることが多くなり、特に一日の終わり(寝る前)の時間帯や週末等は、余力がないために心身ともに疲弊しやすくなります。
人は睡眠と食事さえしっかりとっていれば、大抵のことは何とかなります。時間にゆとりをもって行動したり、いつもよりスローペースで歩いたりするように心がけてください。
この時期、無意識に頭の片隅でいろんなことを考えていることも多く怪我が多い時期です。特に車の運転には注意してくださいね。
いつもよりゆっくりお風呂につかり、自分を大切に。
さて、米国の社会生理学者ホームズは、様々な人生におけるライフイベントのストレス度合を点数化し「社会的再適応評価尺度」をつくりました。その尺度によりますと、1年間に体験した生活上の変化の評価点数の総点が150点以下の場合30%、150〜300点の場合53%、300点以上になると80%以上の方が翌年に深刻な健康障害が生じたということです。ライフイベントはすべて表記しませんが、配偶者の死は100点、肉親の死は63点と高得点です。
ひとりで抱え込まず、避けられる刺激は避け、ある程度日常を取り戻すまで1年間はじっとしていましょう。何事も無理せず、スローペースで。ゆっくりエネルギーを蓄え、自分を大切になさってくださいね。
P男さんが日常を少しずつ取り戻し、また生きいきとした日々を過ごすことができますよう、そしてお父様のご冥福をお祈り申し上げます。