「短所」ではなく「長所」を
<安藤亘の1分間カウンセリング 29年11月>
Q.高齢者福祉分野の比較的大きな法人事務局で管理職をしています。総務部門という仕事柄、日々様々な部門の職員から話を聞きます。気が付くと最近、特に若手に文句ばかり多い職員や何度言っても分からない職員が増えてきたような気がしています。「仕事のできないタメな奴」への対処法を是非教えてください。
(K太郎:50歳)
A. 最近出版された、池田貴将(著)『図解 モチベーション大百科』という本をご存知でしょうか。本の中にマーク・ケイン・ゴールドスタインという研究者の実験が紹介されています。
被験者である仲の悪い夫婦10組に「相手がしてくれた嬉しいこと」を1か月記録してもらうというものです。結果、7組の夫婦の関係が明らかに改善したそうです。
この例にもあるように、レッテルを張り相手の悪いところにフォーカスして一面的に決めつけたイメージで捉えると、相手との関係は確実に悪くなります。相手の良い面にフォーカスするだけで、まず自分自身の相手への感情が変わります。
つまり相手のどこに意識を向けるかによって相手に対する自分自身の感情や認識が変わり、結果として関係性が変わるということ。
前向きに仕事に向き合っているK太郎さんだからこそ、そうでない職員に苛立ちを覚えるのでしょう。これまで自分を支え、大切にしてきた価値観と大きく異なる人に遭遇しては、誰しも共感しにくいものです。
ただ、そんな時こそ良い点にフォーカスしてみましょう。「のんびりしているけど、自分を大切にする能力は高い」「この職員の伸びしろは無限大」「3年後どうなっているのだろう。成長が楽しみ」と意識して思うようにしてみては。
福祉の仕事は自分が過去に経験してきた辛いことや苦労を、人のために生かすことが出来る数少ない魅力的な仕事のひとつと思います。
K太郎さんも、駆け出しの頃は周囲に迷惑をかけたり、周囲の助けを借りたりしながら成長してきたはず。今こそ、これまで積み重ねてきた苦労を人のために役立てる時かもしれませんよ。
K太郎さんの今後に、期待しています。