本文へスキップ

VOL.151
2017. 9月13日

WAIWAIBOX

Sowelクラブ公式サイトをみる

「優先」に自己犠牲は必要ですか?

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 29年9月>

Q.障害者支援施設に勤務しています。現場では日々いろんな課題が噴出します。利用者支援会議を定期的に行っていますが、いつも最後は「ご利用者に何か(暴言暴力等)をされても職員はじっと我慢するだけなのでしょうか。もちろん利用者に仕返しするということではなく、困っている職員を「利用者優先」という言葉だけで片付け守ってくれない、一緒にどうしたら良いか考えてくれない職場の雰囲気に嫌気がさしています。
(I子:40歳)

A. 職場の空気感に不満を感じるのは、ただ単に上司に不満があるというのではなく、I子さんの意識が高いことの表れです。言い換えると、働きやすい職場環境の中でもっと良い仕事をしたいということでしょう。日々辛いことがある職場の仕事の理解と協力を得たい、知恵を貸してほしい、一緒に考えて欲しいというお気持ちなのではないでしょうか。
 
 さて、一般企業では「お客様優先」を掲げている会社が多くあります。そのため自分を犠牲にして、お客様の為に働くというのが一番だと考えられているところが多い気がします。
 
 特に日本では行き過ぎたお客様意識が強く「お客様優先」とは、お客様の言うことが絶対で、それに対応することと認識されているように思います。
 
 「優先」という言葉は、なにも我慢して自己犠牲を払って相手を優先するということではなく(「優先席:シルバーシート」にも含まれていますが)その相手を大切にするということです。
 
 組織が、まず自分の職員に対して信頼を置き、何かトラブルが起きた時にしっかりと職員を守るという文化が形成されていれば、お客様に何か言われて自己犠牲を払い被害者意識をもつよりも、どうしたらよいか自分の頭で考え判断し、自らお客様のために動く職員が出てきて、結果的に感情のストレスが減ると思います。

 お客様も機械的・マニュアル的に対応されるのと、個人的に対応されるのでは、同じ行動であっても感じるものがかなり違うでしょう。
 
 周りを見渡すと、I子さんと同じように感じている職員もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
 そしてどうでしょう。会議の席で、働きやすい職場環境を整えるための部門を越えたプロジェクトチームを創る提案をされてみては。チームの検討内容は「ご利用者を優先するためにはまず職員自身が自分を大切にしないといけないと思うがどうしたら良いか」「困ったことを一緒に考える風土を創るにはどうしたら良いか」等様々でしょう。
 
 まずは自ら行動・発信すれば、職場の中に良い循環を生み出すきっかけとなるはずです。意識の高いI子さんの今後に、期待しています。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.151
発行日:2017年9月13日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
   (一財)秋田県民間社会事業福利協会
〒010-0922 秋田市旭北栄町1-5 TEL:018(864)2703