「まずは自ら」
<安藤亘の1分間カウンセリング 29年7月>
Q.障害者と高齢者の福祉事業を運営している社会福祉法人に勤めています。ここ数年間で「うつ病」と診断され、休職したり退職したりする職員が増えてきました。また、最近控え目で自分の気持ちを表現しない(固い感じの)若手が増えてきたように感じます。どうしたら良いでしょうか。
(G夫:40歳)
A.ご利用者の方々への質の高いサービスの源は職員一人ひとりの心身の健康ですよね。縁あって就職された貴重な人材をしっかり確保・育成し、定着を図ってさらなる利用者へのサービス向上を図る好循環のサイクルを回していくためにも、職場の中に良い循環を生み出すことは何より大切なことであり、誰もが周知のことであると思います。
でも、何から手を付ければ良いのか悩むところでしょう。
心身の健康を著しく低下させる原因は「孤立」、その真逆が「コミュニケーション」です。時間もお金もかけずに行えることとしては、職場でのコミュニケーションに工夫を凝らすということです。まだまだ現場で工夫できることはたくさんあると思います。
コミュニケーションは、人の身体に例えると血液や血管にあたります。職場で一番立場の弱い人(身体の末端)が生き生きと仕事をしているかどうかだけ見れば職場全体の健康状態がわかると言います。身体の末端にまで酸素をいっぱい含んだ血液が行き渡っているということです。
まずは若い人から休みを取り易くする(年度始めに希望を聴く)工夫も必要でしょう。
また、長時間を過ごす「家庭」や「職場」の人間関係は、無意識に相手に対して“こうあって欲しい”と期待してしまうもの。相手の本意を確認する前に感情的に反応しやすい距離感です。
身近である家族や職場の人間関係に対しては、感情的に反応しないことが大切です。相手の本意を確認したり、ちょっと立ち止まって相手の立場になって考えてみたり。
そして、日々いろんなことが生じます。生じた出来事に対してその時自分が感じた自分の気持ちに気付いて、私を主語にしてその場に応じたふさわしい方法(態度や言動)で相手に伝えるように意識しましょう。
上手く言えなくても構いません。“まずは自ら”です。肝心なのはG夫さんが自分の気持ちに素直になって、あまり時間を置かず。できるだけすぐにその気持ちを相手に一生懸命伝えようとすることが大切です。
まずは自ら。G夫さんが変化すれば、周囲の人も変わらざるを得ません。職場の人間関係(後輩)にも、徐々に良い循環が生み出させていくはずです。
G夫さんの勇気に期待と応援を致しております。