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VOL.148
2017. 6月14日

WAIWAIBOX

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「心(脳)」の疲れに気付きましょう

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 29年6月>

Q.障害者支援施設に勤務。今年の4月に人事異動で同じ部署のメンバーのほとんどが異動してしまいました。代わりに異動して来た職員は同法人の全く別領域からの異動で勝手がわからず、日々事故が起きないか気が抜けません。新体制で2カ月が過ぎ6月に入りました。最近寝付きが悪く毎朝職場に行くのが辛くて。メンタル不全でしょうか。
(F夫:39歳)

A.“私が何とかしなければ”と日々奮闘しているF夫さんの姿が伝わってきました。しかし人は、そう何カ月も気を張った状態で走り続ける事はできません。また「メンタルヘルス不全(心の不調)」をわかり易く説明すると脳の疲れ、脳の機能不全です。

 身体の健康はすべて見える化(数値化)できます。健康診断の数値を昨年と今年で比較すれば、健康が増進したか低下したか一目瞭然です。

 しかし心の健康診断はありません。昨年度から50人以上の事業所でストレスチェックが義務化されましたが、心模様や脳の疲れを見える化するとは言い難いものです。

 身体の調整機能(張りと緩み)を司る大事な神経に「自律神経」があります。日中優位なのが「交感神経」。エネルギーを消費して行動へと駆り立てる“ビジネスモード(張り)”。夜間は身体の内部を修復する“節約モード(緩み)”の「副交感神経」が優位になります。

 過重労働や緊張が続くと、この副交感神経が上手く働かなくなります。つまり、緩みたくても緩めない、休むに休めない状態に。

 「身体」の疲れはすぐに出やすく自覚しやすい、つまり回復しやすいのですが、「心(脳)」の疲れはすぐには出ません。脳は1か月以上かけて徐々に疲弊し睡眠障害が現れ、結果気持ちに張りがなく意欲が低下する機能不全に陥ります。当然回復もゆっくりです。

 脳の疲れをとるためには、質の高い睡眠が欠かせません。睡眠は概ね1時間半周期で「深い」「浅い」の波を繰り返しながら、明け方に向け全体的に浅い眠りに移行していきます。

 つまり睡眠が一番深くなるゴールデンタイムは前半部分。遅くとも夜11時を過ぎたら穏やかにゆったりと過ごして寝る態勢に入って下さい。

 人は大人になると、子どもの時と比較して身体よりも頭をつかうことが多くなっていきます。その血液が身体に降りていけないと、寝付きが悪く睡眠も深まりにくいのです。脳の血液が夜になって手足に降りていき、手足から熱を放出して脳を含めた身体全体がクールダウンします。熟睡には、夜間帯の体温の低下が欠かせません。

 そのためには、日中軽い運動をして体内温度(深部体温)を上げておく必要があります。日中体温を上げないと夜下がりにくいのです。

 ウォーキング等によって日中1日最低2回(1回約15分)、少し汗ばむ程度のスピードでウォーキングすると、全身の血液の流れが良くなり、体内温度が上昇します。

 ウォーキングを始めても熟睡感がない日が長引くようであれば、専門機関に相談することをお勧めします。

 睡眠さえ取れれば大抵のことは何とかなりますから、まずは質の高い睡眠をとることを意識して下さい。責任感の強いF夫さん。時間はかかりますが、ゆっくり脳を回復させ、この大変な時期を乗り切って下さい。


ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.148
発行日:2017年6月14日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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