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VOL.145
2017. 3月8日

WAIWAIBOX

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自分の意図が相手に伝わるように

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 29年3月>

Q.ある社会福祉法人の認可保育園に勤務しています。最近、管理職会議の中で、園長先生から「業務上の注意も“パワハラ”になるので控えるように」と話がありました。ハラスメントについては個々の捉え方の軽重があり難しい問題と思いますが、部下職員への指導をどのようにしたら良いのでしょうか。
(C子:40歳)

A.ハラスメント、なかでもパワーハラスメント(以下、パワハラ)は、「実際の職務とは関係ない、または適正な範囲を超えて上司が部下に嫌がらせの物言い等を繰り返し行う状態」のこと。ひとことで言うと「職場でのいじめ」ということになります。しかも、受け手の主観を優先するということがポイントです。つまり「そんなつもりで言った(した)のではない」と言っても、受け手が「嫌がらせを受けた」と認識したらハラスメントになる、ということです。

 上司にとって部下に精神的苦痛を与えることが目的化しているため、指導育成や業務上の命令などに隠れて表面化しにくいのが問題となっています。

 ではなぜハラスメントは発生するのでしょうか。長時間を過ごす職場の人間関係は、無意識に相手に対して期待してしまうものです。自分の価値観が正当(普通)であると錯覚し、相手に対して“こうあって欲しい”と勝手に期待し、押し付けがち。つまり相手の本意を確認する前に感情的に反応しやすい距離感なのです。

 また上下の関係が固定し、閉塞した(風通しの悪い)環境、つまり「孤立」した状況下で発生しやすくなります。その予防は、「孤立」の真逆「コミュニケーション」です。仕事以外のちょっとした会話の豊富な職場は、風通しが良く、ハラスメントが生じにくい環境と言えるでしょう。
 
 そして職場で部下の指導にあたる際、一番大切なキーワードは「何のために」です。人は他者からミスを指摘されてもなかなか行動を変えることはできません。自分自身が“どうしたらミスしなくなるか”をとことん考え、工夫を凝らす必要があります。すなわち、上司は部下に“ミスを挽回、もしくは今後どうしたらミスをしなくなるかを考えさせる”ために行うのが有効な指導です。

 つまり、上司として指導の意図がきちんと部下に伝わっているかどうかが大切です。大声を出す必要はあるのか、人前で叱責するのは適切かどうか、まずは自らの言動を見直してみましょう。職員皆が働きやすい職場環境を整えるのは、管理職の一番大事な仕事なのですから。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.145
発行日:2017年3月8日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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