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VOL.141
2016. 11月9日

WAIWAIBOX

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「疑問」を新たな気づきに

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 28年11月>

Q.知的障害者の入所施設で働いています。忙しく人手も足りない中、ある利用者から何度もしつこく話しかけられ「ちょっと待ってよ!」と強い口調で言ってしまいました。すると、先輩職員から「あなたの権利擁護の意識は?」と注意を受けました。
 「権利擁護」と言われてもどうしたら良いのかわかりません。いったい今後どのように接したら利用者の権利を守ることになるのでしょう。
(Y子:21歳)

A.先輩からの指摘、一生懸命やっている時ほど、こたえますよね。現場の仕事に明確な回答はありません。迷いながら、揺れながら日々の自分自身と向き合って、そして振り返り、他者と自分自身を深く理解していく過程(プロセス)に他なりません。
 
 人を理解するのは終わりがないように、現場の仕事は広くて深いもの。伸びしろは無限にあります。ゆっくりと自己と向き合って、昨日より今日、今日より明日、ほんの少しでも成長できれば、1年、2年と経つうちにその積み重ねはいずれ「自信」につながるでしょう。

 「権利擁護」という言葉は堅苦しいですが、人に関わる仕事をしている人全てに共通する大事な価値観です。
 
 プロは利用者の方に接する際、どんなタイミングでどんな言葉掛けをするのか、すべて意識化している必要があるでしょう。

 そしてすべての支援は、その根底にこの「権利擁護」がないと虚しいものになってしまいます。

 権利擁護とは、利用者支援の全ての根底にあるものです。利用者の自己選択・自己決定を促し、(家族等の意見に左右されることなく)あくまで利用者を中心に据え、常に利用者の権利や主張を優先するように心掛けることが求められます。それは、その人の「自分らしさを」大切にするということになるかもしれません。

 とはいえ、職場には経験豊富な先輩や上司、理解者として同じ目線で話を聴いてくれる同僚もいるのでは。信頼できる周囲の人に今の疑問をぶつけてみてはいかがでしょうか。Y子さんの素朴な質問は、逆に質問を受けた人の新たな気づきにつながるかもしれません。
 
 そうした機会を上手く活用できる現場は、お互いに新たな気づきが生み出されやすい柔軟な職場です。また基本に立ち返るきっかけを得ることで、改めて利用者への支援を見直すよい職場といえるでしょう。

 疑問で終わらせず、ぜひ新たな気づきを生み出す職場に向けて、自分から発信してみませんか。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.141
発行日:2016年11月9日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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