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VOL.138
2016. 8月3日

WAIWAIBOX

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リフレーミングのすすめ

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 28年8月>

Q.私は失敗を気にしていつまでも引きずってしまいます。母に相談しても「あなたは気にし過ぎ。いいかげん、気持ちを切りかえなさい」といつも言われるのですが、そうはいってもなかなか難しいから悩んでいるんです。どうすれば早く立ち直ることができますか。
(V子:33歳)

A.まずは結論からお伝えしますね。ご質問にお答えするのは簡単です。“気にしない事”です。
 
 ちょっと禅問答のようになってしまいましたね。気にしたくないのに気になってしまうから苦しんでいるんだ!とV子さんに叱られそうです。
 
 でも考えてみてください。気にしたくないのに気にしている(気を向けている)のは誰でしょう。それは紛れもなくV子さん自身。

 つまり、自分の意識次第ということです。意識を変えると物事の受け止め方が大きく変わります。おそらくV子さんは失敗が失敗を呼び、さらなる深みみにはまってしまうタイプではないでしょうか。

 過去の出来事をくりかえし思い出し後悔していると、徐々に自信(自分を信じる力)が下がり、困難に向き合う力を弱めてしまいます。戦う前から気持ち的に負けているわけですから。

 また、良くない方向へと考えるあまり、肩に力が入ると物事にゆとりをもって柔軟に対応できなくなるので、それが次なる失敗を引き起こします。いわゆる「悪循環」ですね。

 過去をひきずって今を曇らせてしまうことの無いように、その悪循環を断ち切るための工夫として、日常生活の中で常に「リフレーミング」することをお勧めします。

 “フレーム”とは窓やメガネなどの枠(ワク)のこと。それが転じて物事を捉える時の視点(ワク組み)の事を指します。枠を通して世界を除くと枠の範囲に限定した世界が見えます。それを「フレーミング効果」といいます。人は皆、自分なりのフレーム(見方・価値観・物事の捉え方のクセや特徴)を持っています。

 そして自分の悪いところ探しをすれば誰でも必ず何か欠点や短所があるもの。逆に欠点だらけと思っていた人が、見方を変えるとどこか良い点(長所)が必ずあるものです。画一的な自分のフレームを「リフレーム(再構成)」することでストレスの受け止め方は変化し、世界はまるで違って見えます。

 例えば、「私はマイペースで時間にルーズ」という短所は「自分にやさしい」要素かもしれません。自分に優しくなれなければ(ゆとりも生まれませんから)人に優しくなるのは難しいですからね。「飽きっぽい」も「アンテナが高く様々なことに関心かある」、「自信がない」は他者からしてみれば「ズケズケ自分の領域に土足で入ってくることのない安心感がある」「謙虚で親身に話を聞いてくれそう」「日々振り返りがあって伸びしろ(成長する可能性)が大きい」と言えるのではないでしょうか。

 そもそも現代の人間の科学や文明は、過去の数えきれない失敗の上に成り立っているわけですから、V子さんも是非、今日からリフレーミングする(自分を責めるネガティブな捉え方を意識してポジティブに変える)ように心がけてみて下さいね。

 失敗は「とらわれる」ものではなく「生かす」ものですから。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.138
発行日:2016年8月3日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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