さりげなく、応援しましょう。
<安藤亘の1分間カウンセリング 28年3月>
Q.訪問介護事業所に勤めています。人手が足らないこともあり、毎日バタバタして一日があっという間です。そのため職場のコミュニケーションが希薄で、同僚と実務以外のことを話す時間がほとんどありません。今年入ってきた新人さんとゆっくりお話しする機会もないまま1年が経とうとしていますが、ずっとその新人さんは辛そうにしています。
このままでは職場を辞めてしまうのではないか心配です。私に何かできることがあるでしょうか。
(Q子:40歳)
A.まずは、毎日本当にお疲れ様です。気持ちでは「したい」けど、行動は「できない」。人はそうした気持ちと行動が不一致な時ほどモヤモヤや葛藤を生じますね。
Q子さんは「私に何かできることがあるでしょうか。」と。傍観者でなく、本当に心配されているQ子さんのお気持ちが伝わってまいりました。
勤務状況がわからないので具体的なことは申し上げにくいのですが、今の状況では、おそらく勤務時間内にゆっくりお話しするのは難しいかもしれませんね。例えばそのうちその新人さんの休前日の仕事の帰りがけ等にさりげなくお茶でも誘ってみてはいかがでしょうか。
人はこんなこと話して相手は負担に思いはしないか、職場の人にこんなこと話して良かったのだろうか、と身近であるからこそ、人に内面を語るのは結構抵抗感があるものです。そのため内面を語った相手に翌日また顔を合わせるのが気恥ずかしいと感じることもあります。休みの日の前であれば気分も少し外側に向いていますし、翌日のことは気になりませんので話しやすい状況を整えやすい と思います。
最後に、これまでコミュニケーションが少ない職場であったようですが、そもそもコミュニケーションって何故大事なのでしょうか。辞書でひいてみると、情報伝達・意思疎通とあります。
しかし、コミュニケーションの語源はラテン語のCOMMUNICO(コミュニコ:共にある・共有する)からきています。
心配しているQ子さんの気持ちと、新人さんの誰にも話せず抱えている気持ちをいずれ共有してみて下さい。きっとそこから良い循環が生まれ、孤立した心をほぐしていくきっかけとなることでしょう。
ただ、あせらず段階を踏んでいきましょう。いきなり声をかけて誘ってみるというのもお互いにとって不自然でぎこちなくなってしまいます。
まずはあせらず、肩の力を抜いて普段顔を合わせた際にさりげない声掛けをし“気にしてますよ”サインを送っておきましょう。
最初は心を閉ざし、つれない態度をされるかもしれません。しかし目の前のその人に関心を持ち、温かいまなざしで見守り続けていると、その人も必ず心地よさを感じてきて、いずれ心のコートを脱いでくれるはずです。イソップ童話の「北風と太陽」のように。
解決を急がず、相手の反応を期待しすぎず。それが大事です。期待と応援をしております。