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VOL.118
2016. 1月13日

WAIWAIBOX

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私の心は……「好きだから」

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘



<安藤亘の1分間カウンセリング 28年1月>


Q.高齢者の入所施設で介護士をしています。日々業務に追われ、施設の利用者の方々は勿論のこと、同じフロアの同僚や後輩、上司等幾重にも重なる人間関係のストレスで、心も身体も慢性的な疲労感を感じています。私なりに一生懸命仕事しているとは思うのですが。(Oさん:45歳)


A.「こだわり」と「とらわれ」の違いをご存じでしょうか。両方とも、あることに一生懸命に取り組んでいることには変わりはないのですが、気持ちの部分が大きく異なります。


 一生懸命やってはいても、嫌々だったり受身だったりして、気持ちが一歩引いている。やらされ感が強く、楽しくないのが「とらわれ」です。


 一方「こだわり」は仕事の一生懸命さは似ていますが、精神面で前向きに向き合っていて「とらわれ」よりも健全で疲れにくい(疲れても、その疲れが回復しやすい)状態です。


 年単位で知らない間に積もり積もった疲れは、そう簡単には落とせません。ここは(可能であれば)一旦仕切り直しをして、職場の理解を取り付けて、夏休みや年末年始の前後に少し有給休暇をつけて少しまとまった休みを取ることをお勧めします。


 少し前の話ですが日本人がハワイ旅行をしてハワイで使うお金の平均は一人だいたい20万円、フランス人も同じくらい。ただ、フランス人は1カ月のバカンスでそれを使うのに対し、日本人は4泊6日で使うのだそうです。つまり、フランス人は(1日平均7,000円しか使いませんが)「時間」を、日本人は「お土産(ブランドもの)」を買っている、ということのようです。


 皆さんはどうなりたいですか。私は「金持ち」でなく「時持ち」になりたいと考えています。仕事は忙しくても「とらわれ」でなく「こだわり」。


 とはいえ、わかっていても疲れが溜まっている時や心に負担を抱えている時などは、つい仕事に「とらわれ」そうになると思います。そんな時こそ、なぜ自分がこの業界で長く働いているのか“原点”に立ち返って考えてみてください。おそらく、その理由は福祉の仕事が「好き」だからなのでは。


 登山家に、何故山に登るのか聴くのは野暮でしょう。「そこに山があるから」つまり「好き」だから。


 あれこれ複雑に考えすぎず、ちょっと立ち止まって「好きだから」と素直に思える自分の心と出会ってみませんか。




ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.118
発行日:2016年1月13日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
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