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VOL.114
2015. 12月9日

WAIWAIBOX

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働きやすい環境作りを。

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士・精神保健福祉士 安藤 亘

<安藤亘の1分間カウンセリング 27年12月>

Q.ある訪問介護事業所に勤めているN子です。同僚の(Sさん:38歳)についての相談です。Sさんは生真面目で抱え込むタイプの方で、今年の5月から「うつ」で休みに入り、3カ月後にいったん復職しました。しかし、1カ月経たないうちに2度目の病休に入り、そしてようやく11月に復帰しました。この病気は再発を繰り返すと聞きます。職場も少ない人数で仕事を何とか回しています。できれば再発せず、元気に働き続けてくれればと思うのですが。(N子:45歳)

A.再発しないことはご本人、職場双方にとって望ましいことであることは当然ですが、現実的にはなかなか難しいというイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。今回は“再発しない、させない対応のポイント”についてお話しさせていただきます。

 確かに「メンタルヘルス不全」は他の職員にしわ寄せがいったり、休みもとりにくく職場の士気を低めたり、と周囲にも多大な影響を及ぼします。しかし「メンタルヘルス不全」はその人個人の問題として一面的に捉えているだけでは上手くいきません。

 Sさん個人の問題とするのではなく、組織全体の課題とし、今後のより良い職場環境づくりに向けて改善するきっかけとすることができればSさんを再発させない、そして第2第3のメンタルヘルス不全者を生み出しにくい職場の文化を醸成していくことができます。

 メンタルヘルス不全という現象は、ピッチャーの投球フォームのように様々な要因が複雑に絡み重なり合って、時間をかけて一連の流れ(ストーリー)として出来上がったものです。

 前回どうして復職した後、長続きせず再発してしまったのか。復職のタイミングはどうか。戻った職場環境(他の職員の理解や受け入れ体制)はどうだったか。その他いろいろと考えられることを具体的に挙げ、「過去」から「現在」に至る過程を丁寧に整理します。ストーリーを読むつもりで(点ではなく線で)理解するようにしましょう

 そのうえで「未来」へのシナリオを描きます。今後の対応についてきちんと組み立てることができれば「思いつき」の対応にならずに良い方向に進みやすいのです。

 現在増え続けているメンタルヘルス不全、ストレス性の「うつ」は、本人(個人)と環境(職場)との接点の摩擦によって生じますので「病気」そのものが再発しやすいということではありません。例え一旦回復しても、職場環境との摩擦面が変化しなければ(本人にとって働きやすい職場でなければ)またうつになるということです。

 風通しの良い職場(仕事以外のちょっとしたコミュニケーションが豊富な職場)は、それだけでメンタルヘルス不全の予防や早期発見・対応に結びつきます。

 新入職員や立場の弱い人が生きいきとしている職場は、当然誰にとっても働きやすい職場となります。職場全体のコミュニケーションを見直し“誰もが働きやすい職場”目指して、真剣かつ大真面目に組織全体で検討を始めてみませんか。

ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.114
発行日:2015年12月9日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
   (一財)秋田県民間社会事業福利協会
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