無理をしない。コーピングスキルはいろいろ。
<安藤亘の1分間カウンセリング 27年10月>
Q.障害者施設に勤務しています。職場に最近入職してくる職員は、結構仕事とプライベートの割り切りが良く、仕事や飲み会を上手く断われる人が多いのですが、私は仕事とプライベートの切り替えが上手くありません。断われないため、疲れていても誘われるままに飲み会に参加したり、誰かがやらなくてはいけない委員会の委員や職場内のイベントの幹事等を引き受けてしまったりして、もう首がまわりません。(L子:31歳)
A.L子さんは本当に頼りにされていますね。そんなL子さんに周囲は少し甘えてしまっているようにも思えます。
唐突ですが、ここで昔の逸話を紹介します。皆さんはフランスの皇帝ナポレオンが部下に言ったとされる言葉をご存じですか。「なにかをやらせたいと思ったら、いちばん忙しい奴にやらせることだ。それが早く的確にことをすませる方法である」と。
つまり、L子さんのように“真面目で几帳面、いいかげんにできない、周りに過度に配慮し気を遣う”タイプの方は、周囲からすると仕事をお願いしても嫌な顔せず自分のこととして抱え込んでやってくれるので、つい頼りにして、いろいろとお願いしたくなってしまうのです。
断れない人の理由は「いい人だと思われたい」「断ることで相手が気分を害するのではないか」「関係を壊してしまうのではないか」等々比較的シンプルです。人間関係に敏感で、相手との関係性を大切にしたいと思っている方がほとんどです。
「断る勇気を持つ」という精神論だけでなく、関係を壊さず上手に断るスキルを身につけることが大切です。
ここで、ストレス対処法(コーピングスキル)を一つお伝えします。
相手から何か申し出があった時、まず第1段階として前向きな気持ちで立ち向かい、しっかり相手の申し出について耳を傾けて聴きます。
次に、冷静に今その申し出を受けることができない客観的な理由(事実)を述べます。
そして最後に、大事なことを伝えるときには“あっさりさっぱり、でもきっちりと”毅然とした態度で伝えるように。
あなたは今、多くの仕事を抱えているとします。そんな時に先輩や上司から誰かがやらなくてはいけない(誰がやってもよい)仕事をふられたとしましょう。どのように答えますか。
例えば「現在具体的にこれだけの仕事を抱えていて、今の状況で無理にこれ以上抱えると、責任をもって期限に間に合わず迷惑をかける可能性が非常に高い」ということを冷静に説明します。そうえで代替案を出すのも効果的です。「やりたくないわけではない。できればやらせていただきたい。しかし今抱えている仕事がある程度目途がたった段階(約半年後)であれば引き受けるのは可能」と。上司や先輩も「そこまで無理しなくて良いよ。他の人に頼むから」と言ってくれると思いますよ。
コーピングスキルは他にもたくさんありますので、また別の機会にご紹介いたしますね。