本文へスキップ

VOL.103
2015. 9月2日

WAIWAIBOX

Sowelクラブ公式サイトをみる

できること。できないことは、はっきりと。

イラスト

ビヨンドザボーダー(株)/メンタルヘルス講習会専任講師
社会福祉士/精神保健福祉士 安藤 亘


<安藤亘の1分間カウンセリング 27年9月>



Q.高齢者施設に勤務しています。今年4月、別法人から転職してきた同僚(Y子:29歳)がいるのですが、気分や感情が不安定で、ちょっとしたことで怒りを爆発させます。しかし自分に好意的で支えてくれそうな人に対しては真夜中に何度もメールを送ったり携帯に電話したり。周囲はY子さんの対応にほとほと困っています。Y子さんの性格を治すことはできるのでしょうか。(K子:34歳)



A.性格の偏りがまったくない人はいませんが、偏りが大きすぎると周囲からも理解されにくく様々な人間関係のトラブルを引き起こします。
性格を治すとなると、本人が自分の問題に気づいて長期間カウンセリングを受けることが必要となります。つまり周囲が何とかできる領域ではないので、今回のご相談への現実的な解決策にはなりません。


「性格を変える」ことを目標とせず、状況を沈静化するための周囲の対応を目指しましょう。以下、少し一般化して解説します。


まず「(共感は良いが)同情せず、中立的でメリハリのある対応を心がけること」が基本です。「同情」は相手(対応の難しい職員)の言うことに対してわかったつもりになって、同じ波長で感情的に同調し、相手の言うこと全てを信じてしまうこと。つまり「巻き込まれ」ですね。 
今回の相談のY子さんのような人が泣きながら訴えることに対して疑いを持たず一緒に涙を流したり「上司があなたのこと悪く言っていた」という言葉を疑いなく信じたりして、安易に上司に対するネガティブな気持ちを強めるような行為をさします。


一方「共感」は相手の言うことは否定しませんが肯定もしない、つまり相手の主張に対して良し悪しを述べるのではなく、ありのままに受け入れる「あなたはそう思うのね。(でも私も全く同じ意見であるというわけではありません)」ということです。
同情してあまり親身になると、頼られすぎるという状況が起こります。肝心なのは一定の距離を置いてつき合うということ。「夜遅い電話は受けない(時間を決めておく)」「できること、できないことをはっきり伝える」等、中立的なメリハリのある毅然とした態度が必要です。


K子さんが抱えている困難な状況を、一気に解決する明確な「解」や「答」があるわけではありません。あくまでも「考え方の手順」や「ヒント」、「望ましい方向性」として、参考にしていただければと思います。その際、身近で相談できる専門家をみつけておきましょう。その専門家に都度相談しながら「今、起こっていること」を客観的に整理し、ひとりで抱え込まずにチームとして全体で考え、対応を一致させて今できるところから始めてみてください。


ソウェルクラブ秋田事務局

広報「ひろがれソウェル秋田」 vol.103
発行日:2015年9月2日
発行:ソウェルクラブ秋田事務局
   (一財)秋田県民間社会事業福利協会
〒010-0922 秋田市旭北栄町1-5 TEL:018(864)2703